実録!インプラント治療をめぐる医療裁判(その1)

2016年9月6日

原告(患者)が私の友人だったこともあり、インプラント治療をめぐる医療裁判に係わる事になりました。これは原告(患者)勝訴で結審する実際の記録です。
(*左の写真は文とは関係がありません。あくまでもイメージです)

2010年11月に出版された拙著「歯医者の言いなりになるな!(正しい歯科治療とインプラントの危険性)」の冒頭に書いてある私の友人の個人情報開示等請求事件(平成21年(ワ)第44833号)に関わる訴訟の東京地方裁判所による判決が2011年に出ました。遅くなりましたが結果を報告させて頂きます。

結果は、被告側(歯科医師側)の主張を大きく退け、原告側(患者側)の弁護士費用の一部負担及びカルテ開示を速やかにしなかったことによる原告の受けた精神的苦痛などに対して慰謝料を認める、かなり異例といっても良い程の原告側の大勝利の内容でした。(カルテの開示はこの裁判の最中に被告歯科医師によりなされましたので、カルテの開示をするしないの争いは裁判途中になくなり、事実上、こうなる前にカルテの開示をするべきだったか及びカルテの開示が訴訟前になされなかったことによる損害と慰謝料の請求が争いの裁判となりました。)

そしてこの判決に対しお互いに控訴はなされず確定し、被告から弁護士を通して原告にお金も支払われました。

以下、この件に関し原告、被告双方に対し支障のない範囲で出来るだけ詳しく報告します。なぜならば歯科医側の医療に対する日常の姿勢の一助となると思ったことと、拙著に係争中として掲載していましたのでどこかで何かしらの形で報告すべきと前々から思っていたからです。

尚、この判決に関する当ブログからの内容の転載、引用などは決して行わないで下さい。

1. 訴訟に至るまでの大まかな経緯

まず、数年前に原告(私の友人)がインプラント治療を受けることを決心し、今回被告となった歯科を受診しインプラント治療を続けていたところ、同じ部位のインプラント体を埋入する一次手術とその数ヶ月後に行った、その頭出しなどの二次手術で、後日縫合処置をして出血の処置をしなければならなかった程の術後の後出血があり、その際の被告歯科医師の対応に失望し、医師ー患者間の信頼が崩れ治療継続が出来なくなった。

その後、困った原告は他の歯科にて診察を受け、そのままインプラント治療を継続しようとしたが、その時その歯科医師から被告歯科医師の行った治療について批判的な意見を聞いてしまい、怒った原告は被告歯科を訪れ、カルテ開示を口頭で請求したところ、カルテ開示請求を正式な手続きとして書面で行うように指示され、言われた指示に従い書類を揃えて提出した。

しかし、被告歯科医師はその批判をした歯科医師の連絡先を教えないことや、最初に直接診療所を訪れて来たことなどを理由に「事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に相当するとしてカルテや治療に関する資料の全ての開示を拒否しました。
この時点に至って私に相談がありました。

私は話し合いで解決する方向が一番だと考え、まずは被告歯科医師に対して原告が患者として、どんな思いでインプラント治療を決意し、口の不具合とそれによるコンプレックスから逃れる為に強い覚悟を持って治療に通っていたか。そして、今回のカルテを開示してほしいという意味は、2度の出血で相当の苦痛を味わったので、その原因や、これからの治療を受ける上で必要な注意など、のきちんとした説明を受ける権利がある筈だということを丁寧に伝えるべきだとアドバイスして協力しました。方法としてはすでにその時点で書簡による手段のみを指示されていましたので、手紙にして送りました。その手紙の実際です。(裁判前の手紙ですので、原告に同意を得て、公開致します。)

原告の被告歯科医師あての手紙(個人名は伏せてあります。)

冠省

今回、私からの個人情報開示請求に対して、4月21日付けでその関係する資料全部に対する不開示の回答とその補足説明の書面を頂きました。それを見て、正直、驚きと気持ちの落胆は大きく、落ち込み、今まで経験した事がない程考え込んでしまいました。

私は、平成19年にインプラント治療を受ける前からOO歯科(被告歯科医院名)では歯科治療を受けており、OO先生(被告歯科医師名)の治療を通して信頼感を持って通院していました。

ご存知のように、私の歯は弱く小さい頃から歯の治療には嫌と言う程通わなければなりませんでした。そして、現在では、すでに健康な歯はほとんどないと言って良い程の状態で、この先どうすれば良いのかと思っていたところに、インプラントならば骨に固定させるので、自分の歯の様に噛めるという話しがあったことや、すでに治療を受けていた感じで良い先生だと思っていましたので、一大決心をしてインプラント治療を受けることにしました。費用にしても私の状況では無理な状態でしたが、私の親を始め兄弟などの理解の元、借金をして今まで遅れる事なくOO先生には支払って来ましたし、しっかりと噛める歯になることを思い、最後までOO歯科で治療を受け、そのための支払いの算段もぎりぎりながらもつけていました。

私のこの約2年に渡るOO歯科でのインプラント治療にかける思いは、どの患者さんにも負けないくらいのものだと思います。先生からインプラント治療にタバコはよくないと言われればピタリとやめたくらいです。私の友達などによくタバコをやめたなと言われ、その都度、インプラント治療をうまくいかすためだと答えていました。それ程、私は自分の歯と口にコンプレックスと不安があり、今回の治療が終われば歯や口のことから開放されると思い、先生を信頼し、自分も自分なりに良い患者になろうとして来ました。事実、これまでは特に問題のある患者ではなかったはずです。

しかしながら、去年秋に行った左下の1回目のインプラント埋入手術の時の手術後の出血が止まらず、結果的には手術の翌々日にOO歯科(被告歯科医院)で縫って止血をしたことや、また今年2月に受けた、その同じカ所の2回目の2次手術で同じように手術後に出血が止まらず、この時は、土曜日に手術を受け、翌日の日曜日には先生に連絡もつかなくなり、仕方なく日大松戸の大学病院で救急扱いでようやく縫ってもらい止血しました。

先生、想像してみて下さい。大袈裟ではなく本当に血だらけだったのです。1回目は木曜日に手術を受け、翌日に出血が止まらなくても仕事は休めず、私は大きな車での運送業をしていますが、指示通りに止血のうがいしてから、ティッシュやガーゼを何回も何時間も噛んだのです。その血だらけのティッシュやガーゼの残骸が山のように運転席に重なり、貧血になって事故でも起こさないかという不安などとも戦いながらも何とか仕事を出来る限り早くに終わらせ家に帰りました。しかし家に帰って安静にしても血は止まらず、一晩中ティッシュやガーゼをまんじりもせず噛んでいたのです。そしてようやく日が明け、土曜日の朝にOO歯科(被告歯科医院)で縫ってもらいようやく血が止まったのです。それまでやその後しばらくは液体や流動食のようなものしか口に出来なかったのです。それでも一度目に出血が止まらなかったことを十分に考えた上で手術をするのだろうから、同じような手術後の出血はないだろうとOO先生を信じ、一度目の手術後の出血のことには特に不満や不平を言わずに、2度目の同じカ所の2次手術を受けました。しかし、手術後にまた出血が止まらずに同じことが起こったのです。そしてこのときは、何かあったらいつでも連絡して下さいと渡された携帯番号に連絡しても、一度は電話に出られ、ティッシュやガーゼを強く噛んで下さいとすでに試している方法を繰り返されるばかりで、それでも出血が治まらないので、時間を空け、都合3、4度連絡してみましたが、呼び出し音はなるけれど応答はない状態になってしまいました。私は日曜日ということもあって、やっている歯医者もなく途方にくれ、診てくれる日本大学松戸歯科病院を探し出し、救急で止血処置を受けました。

私は指示を守り、的確に手術を受けた場所をティッシュやガーゼで強く何回も何時間も噛んでいたのです。それでも出血は止まらずに、本当に血だらけで、また1回目のような目に合うのかという恐怖や不安などの精神的苦痛を強く感じざるを得なかったのです。

そして、その後の治療にOO歯科(被告歯科医院)に通った際に、日大松戸で縫ったところを診てOO先生が、「こんな風に縫われちゃったんだ、また同じ手術をしなくちゃならない。」と言ったの聞いて、私の中の長年の問題だった自分の歯と口の悩みを解決するために、先生を信頼し辛抱強く治療に通う。という覚悟が崩れてしまったのです。

そしてそのままOO歯科(被告歯科医院)に通う気力もわかず、OO歯科(被告歯科医院)からも連絡はなく数週間が過ぎた頃、先生が私の自宅にみかんを持って来ましたが、やはり、私の先生に対する信頼が崩されたという思いは回復しませんでした。しかし私としてもこの歯の状態のまま過ごすことも出来ず、さらにこの治療途中の状態からきちんと治療がしてもらえるのかという不安も抱えながら次ぎの治療場所を探さざるを得なかったのです。私はいままでに書いて来た通りにOO歯科(被告歯科医院)で最終までの治療を受けたかったのですが、どうしても納得が出来ずに4月6日にOO歯科(被告歯科医院)を訪れ、言葉足らずで多少の感情的な面もあったかもしれませんが話しをした時に、OO先生に「では、今後の治療費は要りませんから」と言われてもやはり平気な顔をして今後もOO歯科(被告歯科医院)に治療に通うということは現実的に無理と思われました。そしてまた、今回貰った書面の中に4月6日のような威圧的な言動があれば然るべき対応を取ると書かれました。事実、4月6日には訪れていますが、暴れてものを壊したりなど、私はそこまで言われるような威圧的な態度を取ったとは思っていません。また、実際に4月6日以降は先生の言われる通りに書面のやり取りでわからないながらも個人情報開示の手続きをしたりして、再び訪れるようなことをしていないにも関わらず、2週間以上もたったあとの4月21日付けの書面で、然るべき対応を取るというようなことが書かれれば、私も気持ちがいいものではありません。

私が4月6日に訪れて伝えたかったことは、手術後に出血が止まらずに過ごさなければならなかった時間は、先生が思うよりは、深刻かつ心身ともに辛いことであり、手術を行う時は、手術後先生が出張で居なくなる時や、翌日が休みの土曜日などには見合わせるなど、もっと他にやりようがあったのではないかということ。そして、このよう経験をすれば、血が止まらずに困って連絡をしても連絡がつかなくなる状況などは、どうしても対応に不誠実なものがあったと言わざるを得ないということです。そしてなによりも出血の止まらなかったことにより、なぜ自分があんなにも心身ともに我慢を越えるような苦痛を味わなくてはならなかったのか。そして、その対応を含めた責任は先生には全くないのか。ということです。

そしてその原因が何であり、次の治療を受ける為にも、今後どのようなことに気を付ければいいのかを知ることです。

私には上記の事など、OO歯科(被告歯科医院)で受けた治療に関して納得の出来る説明を受ける権利があると思います。私はOO歯科(被告歯科医院)の業務に支障を与えるようなことは望んでいません。ですが最終的には診療終了後でも休みの日でも構いませんので、面談による説明を希望します。

以上、簡単ではありますが、私の思いを書かせてもらいました。先生の誠意ある御回答をお願い致します。

平成21年4月29日  原告 氏名

これに対して被告歯科医師は、「説明する義務があるとは思うがう少し待ってほしい。」という意思を伝える内容の返事が書簡でありました。そこで、その後数週待ったのですがなかなか連絡が来ないので再度書面にて問い合わせをしたところ、「色々と警察など公的機関に相談等をし、総合的に勘案したところ、カルテの開示は出来ないこと、これで交渉を打ち切るのでこれ以上のことは原告で法的にやったらどうか。」という返事が来ました。

それでもここはもう一度と思い、私から直接被告歯科医師に対して、問題を大きくせず何とか話し合いでの解決は出来ないかという書簡を送りました。

☆ 実録!インプラント治療をめぐる医療裁判(その2)に続きます。


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