8020運動開始から23年後
前回の「8020(ハチマルニイマル)運動の本質 | その1」から続きます。平成23年「歯科疾患実態調査報告」では70歳代での平均喪失歯数は約11本で、親知らずを除けば70歳代で残っている歯の数は17本となり、現実的に70歳代で歯を20本残すのは難しく、実際に80歳で20本以上歯の残っている割合は38.3%でした。
私は現在50代半ばですが、すでに4本の歯を失っていますし、しっかり治療し管理してもこの先10年は持たないだろうと思う歯が複数あります。
8020運動においては、私は明らかに脱落者になるでしょう。私は高齢になった時、高い健康度を保つことは難しいのでしょうか。統計上は有為の差を持ってそうなのでしょう。
歯科医師として見た8020運動
でもそれっておかしくないでしょうか?歯科医師は、歯が少なくなってしまった人でも歯科医療の恩恵によって歯が20本以上残っている人と変わらない健康度を提供することが役割なのではないですか?
全身の健康を考えると、80歳で自分の歯が20本ないといけませんよ、と言わなければならないのは歯科医師として「敗北宣言」なのではないですか?
80歳で歯が20本以上残っていると健康度が高いので、とにかく20本以上の歯を残すようにして下さいと啓蒙だけして、ではこうすれば80歳で20本の歯が残りますという確実な方法を示さずに、歯を失った人には、まるで歯を失ったあなたが悪いかのような風潮となっているような気がします。
私は以前からずっとこのよう違和感と疑問を持っていました。また、歯科界から同じような意見が出てくると思っていました。
歯医者としては、「歯が無くなってしまったのは残念ですが、でも大丈夫ですよ!」と言えることが歯科医療の本質でしょう。
8028を目指して
もともと80歳で20本は歯を残そうというのが中途半端な感があります。どうせなら親知らず以外の全ての歯、28本を残すことを標榜すれば良いではないですか。でもなぜか、80歳では何本かは歯を失うことが前提になっているようです。
歯にも寿命があるということでしょうか。しっかりと歯を磨き、歯科医院でこまめな定期健診を受け、必要な処置と管理を励行すれば虫歯にも歯周病にもならないとされているのではないですか。
歯科の進歩
歯周炎についてのブログでも述べたように、ミクロ的には歯科疾患の原因因子をあまりにも細菌だけに求めていないでしょうか。
歯周炎についての研究は遺伝子レベルでの解析などにより非常に速い展開をなしており、今後の歯周炎治療の激変が予想されます。
またマクロ的には、歯科はまだあまりにも「歯」にとらわれていて、「口」という器官の医師であろうとする姿勢に欠けています。
今後の歯科の進歩は、「歯科」から「口腔科」へ転じることにあると私は確信しています。
8020推進財団のホームページは面白い
8020推進財団のホームページは非常に有意義な情報が満載です。「楽しい歯のマメ知識」や「医療関係者の皆様へ」から入ったページには「口腔と全身の健康状態に関する文献調査報告書」など多くの論文が掲載されております。
一度訪ねてみることをお勧めします。
林歯科・
httpss://www.exajp.com/hayashi/
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