およそ八ヵ月かけて、歯茎の治療や咀嚼トレーニングなどを続け、入れ歯を作り直したところ、予想していた以上の効果が現れました。
まず顔が変わりました。ひとことで言えば、若返ったのです。初診で訪れたとき、患者さんの口もと、首のまわりには不自然な皺があり、顔は左右非対称になっていました。
いずれも、原因は合わない入れ歯です。10年間も偏った噛み方をしていたため、咀嚼筋が不自然な発達をしてしまい、顔が歪み、不自然な皺が出ていた。
それが「使える入れ歯」と「正しく噛むトレーニング」によって、元に戻りました。入れ歯を作り変える以前、この患者さんは食事が億劫だったそうです。まともに噛めないために、食事をするのが面倒だった。しかし、「使える入れ歯」が口に入ってからは、食事が楽しくなったとおっしゃっていました。表情にも明るさが宿りました。
ですから、正確に言えば、その患者さんは若返ったわけではありません。本来あるはずだった若さを取り戻しただけです。