裏口入学

先日、岩波書店のコネ入社が話題になりました。ラジオなどを聞いていると割と寛容に受け止めているコメントが多いようで、その反応に少なからず驚いています。

まぁ世の中にはコネがまかり通っていますし、今更きれいごとを述べようとは思いませんが、それでも、若い人の進路や希望が縁故やコネのあるなしで決まってしまうのはイヤですね。

岩波に入社し活躍する事を夢み、そのための準備をしてきた人にとって、コネがなければ入れませんよ、と言われちゃ、絶望しかないじゃないですか。酷い話です。

コネや縁故には受験シーズンの今頃になると、必ず思い出す光景があります。昭和50年(1975年)日本歯科大学付属歯科専門学校歯科技工士(当時)試験会場は長蛇の列でした。その列の中に松葉杖の同年代の青年がいました。歯科技工が適職な身障者の方もいます。

第一次オイルショックによる大不況の影響で就職難、ならば腕に職をつけようと歯科技工士の希望者が増え、大卒者の受験なども増え競争率が一気に10倍まであがったのです。

その年は正直に受験し、見事に不合格でした。一浪中にコネがないと入学できない事を知りました。正確に記すと100万円を歯学部のY教授に渡し、入学させて貰うのです。コネや縁故ではなく不正入学です。

当時、相当悩み、苦しみました。が、結局それで入学しました。かなり後ろめたいので入学後もその事に触れずにいましたが、しばらくすると100%裏口入学だと知りました。成績によって裏金の額が違う事も知りました。

どうりで全体のレベルが低い訳です。ただ悲しいかな同じ穴のムジナ同士が集まったのだからと、後ろめたさは徐々に薄まりました。

思い出すのは松葉杖の彼です。2年連続で同じ受験会場にいましたが、入学後はいません。他の技工学校に入ったのかもしれませんが、受験会場の長い列に一緒に並んだ光景はずっと心の中に残っています。