噛み合わせの狂いは、もちろん口の中にも悪影響を与えます。父の「最後の5本」がダメになったのは、合わない入れ歯によって噛み合わせが狂ったからです。
噛み合わせに問題がなかったときは、ものを噛んだときの応力(抵抗力)は、歯列全体にバランスよく分散していました。ところが、合わない入れ歯を無理して使っていたために、応力が特定のポイントに集中するようになった。その結果、歯と歯茎が脆くなってしまい、虫歯や歯周病が進行したのです。
すぐに発見していれば、歯を保たせることができたかもしれません。しかし、症状はかなり進んでいて、グラグラになった歯を治療によって安定させるのは不可能、というレベルにまで達していました。
治療はボロボロになった歯を抜き、歯茎を正常に戻すところから始めました。腫れている歯茎に合わせて入れ歯を作っても、うまく入るはずはありません。そこでまず、歯茎を元に戻したのです。
同時に、バランスよく噛む訓練をしました。父には「偏った噛み方」が身についていましたから、これをトレーニングによって修正していきました。