☆歯を長保ちさせたいなら、口全体を大切にする必要がある
ところで、いずれは入れ歯を入れざるを得ないにしても、それはできるだけ先にのばしたい、自前の歯を少しでも長持ちさせたいと願う人は多いかと思います。
もちろん歯の寿命そのものは延ばせませんが、寿命を縮めるファクターを排除し、本来の歯の寿命を全うさせることは可能です。それが自前の歯を長持ちさせることと同じになると思うのですが、そのためにはまず、「歯は人体から独立したものではない」ということを知っておかねばなりません。
歯は、とかく単一の「モノ」として捉えられがちです。別の言い方をすれば、歯を大事にしようとする人は、歯だけしか見ていないことが多い。しかし、それで歯を長保ちさせるようとしても、うまくいかないはずです。
ものを噛み切り、磨り潰す。これは歯の最も重要な役割ですが、歯だけが果たしている仕事ではありません。顎、顎関節、舌、歯茎、筋肉や神経などの「連係プレイ」です。口の機能に関わっている器官は歯以外にもたくさんあって、それらはみなものを食べるときに連動しているわけです。
歯科の世界では、口の機能に関わる器官をひとまとめにして「顎・口腔系」といいます。「顎」や「口腔」は一つの「系(システム)」して連動しているから、「顎・口腔系」というわけです。連動しているわけですから、どこか一箇所に問題が発生すれば、全体が影響を受けます。
したがって、歯を大切にしようと思ったら、顎・口腔系全体を大切にしなければなりません。歯だけに着目して「どうすれば長保ちさせられるか」と考えるのは、「木を見て森を見ず」です。
では、顎・口腔系を大切にするには、具体的に何をすればいいのでしょうか。これを説明するにあたっては、「顎・口腔系の動き」を知る必要があります。
林裕之