さてそれでは、1本だけ歯が抜けたときは、どのようにして補えばいいのでしょうか。私たちのところでは、原則として1本義歯というものを使います。
写真が、その1本義歯です。ご覧のとおり、抜けた1本分の義歯です。義歯にはツメのようなものがついているのがおわかりになると思いますが、これを隣の歯に引っ掛けます。
ツメは金属で出来ていますが、弾力があります。たわむのです。ですから、ツメというよりはバネだと言ったほうが正確かもしれません。
1本義歯を入れるとき、ツメはいったん広がります。歯の直径が一番大きくなっているところに入ったら、収縮してパチッと抱えるわけです。したがって、簡単に外せます。ツメを引っ掛けるといっても、固定するわけではありません。
ツメの役割は、ものを噛んだときに落ちない(浮かない)ようにすることです。ものを噛んで落ちそうになったときに抵抗するだけで、普段からギュッと強い力で歯を抱えているわけではありません。ですから、隣りの歯にかかる応力はごく小さなものです。むろん隣りの歯は削りません。ツメを入りやすくするために、ほんの少しだけ削ることもありますが、それはごく稀なケースです。