喜びも二倍三倍に

前述の患者さんの治療は、まず上の部分入れ歯を作り直すところから始めました。本来の歯の高さに合わせて、新しい入れ歯を作った。

次に、下の義歯(ブリッジ)に金属を接着しました。下の義歯は、本来の高さよりも低く作られていましたから、金属を「足して」、本来の高さにしたのです。

もちろん一連の処置は、ゆっくりと進めました。バランスの悪い噛み合わせとはいえ、4年という時間をそれで過ごしたのは事実です。これを急激に変えてしまうのは危険です。まして患者さんは88歳という高齢ですから、噛み合わせを元に戻す処置は、ゆっくりと、慎重に進めていかなければなりません。

新しい入れ歯で違和感なく噛めるようになったのは、およそ2ヵ月後のことです。その段階で、めまいは完治していました。入れ歯が入ったあとも、調整のため通院してもらいましたが、最終的には一人で通ってこられるようになりました。88歳という高齢にもかかわらず、問題なく歩けるようになったのです。

しかも通院の帰りに、友達と食事をするようになった。入れ歯の調整を終えたあと、その患者さんは「これから友達と食事をするんです」とよく言っていました。新しい入れ歯によって、外食を楽しめるようになったわけです。それまで外出に大きな制限があったために、喜びも二倍三倍になったのではないでしょうか。


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