リスクともなう歯列矯正

2017年2月7日

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歯列矯正に副作用があることもなかなか広まりまらないのは、矯正医にその意識が希薄なことが一番の原因です。時間とお金を費やして見た目の歯並びはよくなったものの、それまでになかった身体の変調に苦しむ患者さんが絶えないことも事実なのです。テレビなどで成人矯正を始めたタレントやお笑い芸人を見かけます。老婆心ながら心配です。

歯列矯正の副作用

前回までは歯と身体の関係についてお話ししてきましたが、今回から噛み合わせ(顎運動)の観点から歯並びや乳歯の大切さ、歯科受診の際の注意点等についてお話しいたします。

顎運動(物を噛む時の顎の動き方)はひとりひとりが長い年月を経て作り上げ、獲得した独自のシステムで、年を重ねるに連れ身体の他の器官と連携しながら緩やかに変化(老化)してゆくものです。しかし、残念な事に、虫歯や入れ歯などの歯科治療が噛み合わせ(顎運動)を急激に変化させてしまうことがあるので
す。

その結果、思いもしなかった身体の不調に見舞われてしまうことがあります。最近ブームになっている歯列矯正でもそうしたことが起こっています。特に、二十才以降に歯並びを変える成人矯正にはあまり知られていない副作用が出る場合が多いのです。

歯並びを整えるには、ワイヤーを歯に付けて力をかけ、歯を移動させます。この時、歯を並び変えるスペースを確保するために、上下の第一小臼歯(犬歯の奥隣)を抜歯する事が多いのです。見かけを良くする為に健康な歯を抜く事自体にも問題がありますが、例え抜歯をせずとも歯を移動させ、歯並びを変化させる訳ですから、それに伴って上下の歯の噛み合うポイントも変化し、ズレが生じます。するとそれまでと違った噛み方(顎運動)をせざるを得ません。つまり、顎の筋肉の働かせ方やその脳神経回路を、新たに獲得しなければいけないのです。

しかし、このような噛み方の急激な変化に身体が対応しきれずに、歯や顎の痛み、頭痛、めまい、吐き気、精神的なパニックなどを起こしてしまう事があるのです。例えるなら右利きの人に左手で箸を使ったり、字を書くことを無理やり強制するようなものです。

特に、噛み方を含め身体の様々なシステムが完成されている成人に対する歯列矯正は、こうした副作用とも呼べるリスクの比率が高いのです。歯は食べ物を咀嚼する事が最大の役目ですから、多少歯並びが悪くても、良く噛めるという機能があれば見かけは二の次で良いのです。

本来、歯列矯正は噛むという機能回復のための治療法なのですが、最近は美容目的だけで成人矯正をし、身体の不調を訴える人が後を断ちません。

見かけの歯 並びは良くなっても身体が悪くなったのでは費用と時間をかける意味がありません。歯列矯正をしようとする人は、こうしたリスクがあることも充分理解し、くれぐれも慎重に対応して下さい。

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