なぜ「歯磨きの仕方」を細かく指導されるのか?
インプラントを入れた人は、歯科医から歯磨きの仕方を細かく指導されます。入れたあとの定期点検は、周囲の清掃、消毒がメインです。いずれも、感染症を防ぐのが目的です。
口の中には、毎日必ず食べ物が入ります。指や箸も入りますし、口と食器が触れたり、口を使って何かを切ることもよくあります。つまり、口という器官には常に雑菌が入ってくる。
ミクロの視点で見ると、インプラントと歯茎の結合部分には大きなすきまがあいています。雑菌は、そこからどんどん侵入してきます。これが感染症を引き起こすケースはよくあって、場合によっては顎骨に炎症が波及することもあります。ですから、インプラントを入れた人は、口の中の清潔を保つ努力をしなければなりません。
これは、清潔にしていれば大丈夫ということではありません。清潔にするのが最低条件ということです。歯と歯茎の境目というのは天然歯でさえも弱い部分で、歯肉炎や歯周病などはたいていそこに起こります。ですから、いくら消毒や歯磨きをしていても、感染症に冒される可能性はゼロになりません。感染症による歯茎の腫れ、炎症などが慢性的に起きるようになれば、むろん食事は苦痛になります。
また、顔面というのは、他の組織と違って筋膜の区切りがありません。歯茎が腫れてお岩さんのようになってしまう人を見かけることがありますが、これは顔に筋膜の区切りという防御フェンスがないからです。
つまり、顔面のどこかに炎症が起こると、比較的大きな範囲に拡がることが多い。こうした点から考えても、インプラントが生着したあとも安心はできません。