このように、噛み合わせの狂いは口とは離れた場所にも悪影響を与えるのですが、実際に出てくる症状は、円形脱毛症だけではありません。よくあるのが、頭痛や肩こりです。
筋肉の中には神経や血管が通っていますから、不自然な噛み方によって筋肉が過緊張になると、血管や神経が圧迫されます。これが頭痛や肩こりにつながるのです。同じ理由で、めまいや耳鳴りが起きるケースもあります。
このように、噛み合わせの狂いは口とは離れた場所にも悪影響を与えるのですが、実際に出てくる症状は、円形脱毛症だけではありません。よくあるのが、頭痛や肩こりです。
筋肉の中には神経や血管が通っていますから、不自然な噛み方によって筋肉が過緊張になると、血管や神経が圧迫されます。これが頭痛や肩こりにつながるのです。同じ理由で、めまいや耳鳴りが起きるケースもあります。
合わない入れ歯によって円形脱毛症が起きるのか? 不思議に思う人が多いでしょう。
その疑問にひとことで答えるなら、「入れ歯が合わないと噛み合わせのバランスが大きく崩れるから」ということになります。
父は、合わない入れ歯を無理して使っていました。当然、うまく噛むことはできません。それ以前とは違った噛み方でものを食べるようになり、それが一年以上も続いていた。これはつまり、ものを噛むための筋肉が不自然な動きをくり返していた、ということです。
一つの筋肉が偏った動きをくり返していれは、関連するほかの筋肉もそれをカバーしようとして、不自然な動きをくり返すようになります。父の場合は、その悪影響が側頭筋に及んだと考えられます。まず咀嚼筋のひとつである側頭筋に負担がかかり、その結果、側頭部に生えている毛が抜けてしまったわけです。
問題を発見したのは、入れ歯を入れてから1年2ヵ月後も経ってからでした。その日、およそ2ヵ月ぶりに病院にやって来た父の口を見て、私は呆然となりました。
まず目についたのは、下顎前歯部の歯茎のふくらみと、そこから大量に出ている膿でした。残っていた歯は虫歯に冒されていて、これはもう抜歯せざるをえない、という状態です。2ヵ月前には問題に気づかなかったので、私は驚くより先に呆然となったのです。
こんな状態になるまで、毎日どうしていたのか。ともかく聞いてみると、下の入れ歯がきつくて合わなかったので、少し浮かして使っていた、との答えでした。父は我慢強い性質で、息子たちが作った入れ歯だからと、入れた当初からずっと不具合に耐えていたのです。
このとき、さらにもう一つ、父の体には変調が出ていました。側頭部のあたりの毛が、直径数センチにわたって抜け落ちていたのです。いわゆる円形脱毛症ですが、これも原因は「合わない入れ歯」でした。
入れ歯について、私たちは大変な失敗を犯した経験があります。その失敗の犠牲になったのは、私たちの父でした。
父は65歳で総入れ歯になりましたが、その直前まで5本の歯が残っていました。残っていた歯をダメにしたのは、他ならぬ私たちです。私たちが作った「合わない入れ歯」によって、父は残っていた歯を失ってしまったのです。
それ以前の父は、さしたる不都合もなく入れ歯を使っていました。残っていたのはすべて下の前歯でしたから、上は総入れ歯、下は部分入れ歯という状態です。
私たちが、父の入れ歯を新しく作り替えたのは、親孝行をしようと思ったからです。技工士の兄と、歯科医の私で、もっといい入れ歯を入れてあげようと思ったのです。兄が技工士になって12年目、私が歯科医になって3年目のことでした。
それまでに蓄積した知識と技術を総動員して、私たちはがっちりと動かない入れ歯を作りました。満足のいく出来でした。父の口に入れたとき、「これで少しは親孝行ができた」とホッとしたのを覚えています。
入れ歯を入れたあと、父には2ヵ月に一度のペースで通院をしてもらいました。これは調整と管理のためです。入れ歯の本当の治療というのは、作ったときではなく、口に入れたときから始まるものですから、定期的なチェックを続けたのです。ところが…..。
噛み合わせが狂うと全身に悪影響を与える場合があります。
頭痛や肩こりの原因が噛み合わせにあった!」などは今では誰もが知っているのですが、噛み合わせを狂わせる最大の原因が、ブリッジやインプラント、歯列矯正などの歯科治療にある事はあまり知られていません。
入れ歯の不具合で思わぬ症状に苦しむ場合もあります。その実例をこれから順次紹介していきたいと思います。