カルテについて。私の本音(その2)| 実録!インプラント治療をめぐる医療裁判(その8)

 次に、カルテについてですが、カルテを押さえるには、このようなカルテ開示を表から請求するか、証拠保全という、裁判所に訴訟準備をするということで手続きをして、裁判所の担当官と共に診療所を突然訪れ、カルテなどを押さえてしまう強行手段があります。とにかくカルテを押さえる時には、書き換えられていないカルテが欲しいものです。通常、カルテ請求をしてから出てくるカルテは全てとは言いませんが、都合の悪そうなところは必ずと言っていい程、書き足したり、書き換えられているでしょう。

私が書いているカルテでも今のものならばそのまま出しても特段問題はありませんが、以前のものでは書き足したり、書き換えたくなるでしょう。したがって、カルテを押さえる時は、証拠保全の手続きを取って、書き換えや書き足しのなさそうな状態のカルテを押さえたいものです。しかし、この証拠保全には最低30万円位の費用が掛かります。ですので、経済的に余裕がないと厳しいですし、カルテを押さえたからといって勝てる訴訟になるとは限りません。

そしてやはり、誰しもが、もめ事は、おおごとにしないで、出来ることなら話合いの範囲でことを済ますことを望むものではないでしょうか。ですから、通常は証拠保全という強硬手段ではなく、まぁ、書き換えられてしまう可能性が高いだろうけど、正攻法でカルテを出して下さいとすることが多くなるのは仕方のないことです。

 今回も、まぁ、しっかりと加筆訂正された立派なカルテが出てくるのだろうと構えていたのですが、それがまた良くも悪くも、想像を遥かに越える「あっと驚く」カルテが出て来たのです。つまり、「書き換えて、これかよ!」というしろものです。一緒にカルテ分析した仲間の歯科医師もあっけにとられ、最初は困惑、つまり一、二度、見ただけでは「えっ、えっ、ここでこうして、次は、えっ、どうなってんの?どのような意図でこれをしてるの?えっ、してないの。O月O日、仮歯、折れ、修理。えっ、それだけっ?とか。えと、抜歯してそのあとスケーリングして、って、抜歯したあとスケーリングしてんの?」とか。

まず、脈絡がなく、本当に必要な記載がなく、何を、どんな風に意図してやっているのか、体系的に治療の流れが追えないカルテで、その割には、インプラントの時には、たまに図まで書いてあったりして。このたまにって言うのもどうかとは思うけど。それでも根気よく分析を勧め、回を重ねるごとに見えだして来ました。

確かに書き加えたり、書き換えの痕跡はありました。カルテを追って行くと、基本的には書きなぐりの一回の診療に付き一行くらいのものですが、突然、筆跡がはっきりし、図が書かれていたり、内容が丁寧だったりするのです。そして、またいい加減になり筆跡もはっきりしなくなるのですが、そのうち、きりっとしたりします。我々もそんなカルテを追っていると、「ああ、ここでコーヒー飲んだな」とか言って苦笑まじりになってきます。

 最後には、ほとんど治療がわからない程カルテを書かないっていうのも、訴訟がらみなんかになったら、逆に「あり」だなみたいな変な感想が出て来てしまったりさえしてきてしまいました。今思えば、これが被告歯科医師の本質的的な診療姿勢だったのだろうと思っています。つまり、インプラントを埋めるまでは行き当たりばったりでドタバタしても、インプラントを埋めて、くっつきさえすれば、あとはどうにかなるという感がひしひしと伝わって来ますし、実際そういうことで、こなして来たのだと思います。そして、そのような診療を「誠心誠意をつくした治療をして来た」と本気で言ってはばからないのです。

 そしてもう一つ。一回目のカルテ開示の拒否と「納得出来ないのならそちらで法的にやったら」という書簡が来た後に、それでも何とか弁護士を介さない範囲でと、今度は私から手紙を送って面談を求めました。これは言うならば会って下さいという私からの「ラブレター」です。ブログに公開していますので皆さんお読みになってから、これを見ているのだと思いますが、この手紙は気を使って、出来るだけ丁寧に書いたつもりで、きっと被告も私だけに会って歯科医同士の話しで収められるようにするのが得策だと判断し、てっきり面談を了承してもらえると思っていました。

そしたら、あの私の手紙を持って、警察に駆け込んだというんですから、いやはや、こうなるともう、何と表現したら良いやら、そしてホントかウソか警察も相手にしない方が良いと言ったというんですから。(実際のところ、警察としても、あの内容の手紙を持って駆け込んでくる人物を持て余して、適当な対応になってしまっていたんではないんでしょうかね)つまり、被告の人物が私の思う範疇でなくなって来て、そしてその思いは原告が依頼した弁護士からの最初の請求に対する被告の返答で、完全に、「こんな人が世の中にいるんだのクラス」にまで昇華したのです。

それは、弁護士からの請求に対して、カルテ開示のような個人情報開示請求とは、このようにするのだという説明を面々と綴ったものを代理人を付けずに個人として内容証明で送って来たのです。これには弁護士さんと顔を見合わせて、まずはびっくりとしましたが、「困ったな」というのが本当の意味でした。なぜならば、まともなやりとりが出来ないからです。

 結局、今まで経験したことのない程、「とんちんかん」な対応をする人達を相手にしているということが、法的な場に移った後でさえ、やり取りを続ける内にますます分かって来て、書面を受け取る度に、「はぁー?」となってしまうような想像の範疇を越えた内容が最後まで続き、ショックを受ける程だったというのが、最初のやり取りが始まって以来うすうす漂っていましたが、最後の方に、はっきりとに分かったということです。私としては、そんな筈ないよなー、という思いがずっと続いていて、どこかでまともな反論に出会えると思っていたのですが、最後の最後までそのようなことがなく、「なんだかなぁー」というのが本音です。

 これが、今回の件での本当のメインの感想です。当然、全くの個人的感想なのでいわゆる根拠の示せないものも多く含まれていますが、あながち、全くの外れということではないと思っています。

 そして、なぜこんなことをここまで詳しく書いたのかと言えば、一番は、恥ずかしいほど社会性に欠け、無知で傲慢としか言えない、この被告の来し方そのものが紛争を招いたのであり、さらに紛争を大きく長期化させたものとの結論を、紛争の経過を通して、私が確固として持ったからです。そして、残念ながら現状の歯科界ではレアケースとは言い切れないのです。ですから、このことを広く伝えることは、歯科医療の提供側と歯科医療の受領側にとって益のあるものと信じたからなのです。

 では次には、具体的に役立つような視点で書きたいと思います。

☆次回に続く


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