そして私の本音。画期的な判決(その2)| 実録!インプラント治療をめぐる医療裁判(その7)

結局、判決の後は双方控訴せず。慰謝料も支払われ裁判は終わりました。

裁判はひとつの判例が、それ以後の裁判にさまざまな影響を与えますので、今回の原告側の主張が全面的に受け入れられた画期的な判決も、患者側の利益になる判例として少なからず意義があったと思います。

裁判は日常生活から一番遠いところにありますので、当事者になって初めてその独特なシステムに戸惑い、混乱し、疲労するのがパターンです。原告の友人も当事者でありながら、別世界で展開されるやりとりに嫌気がさしたようで、次のステップへ進む気力は残っていませんでした。

友人のその後の治療は私が引き継ぎ、義歯を用いて、よく噛めるようになり、顔貌も元に戻りました。結果的に言えばそもそもインプラントは何だったのか?という事になります・・・

私の本音(その1)

最後にまとめ的な感じで全く個人的な感想をいわゆる本音というか「ぶっちゃけ的に」書きたいと思います。これまで途中で、多少感想的なものも書いて来ましたが、今から書くのは私が感じた本音です。

 まず最初に言いたいのは、この被告の性質というか人物がかなり変わっているということです。自分を含め、人は皆、多少は変わっていますが、被告の場合はその多少という範囲を明らかに逸脱しているでしょう。実際のところ少しショックを受けた位です。

 この件で、私が原告(友人)から相談を受けたとき、まず思ったのは、このケースでは大きく(原告が満足するような、今まで支払った治療費の大部分の返還などのような)お金を取るのはかなり難しいだろうということです。まずこれを原告に言いました。なぜならば、色々あったにせよ現にインプラントは問題なく生着し、上部構造を補綴出来る状態になっているからです。つまりインプラント治療による結果としての明らかな損害が認められない状態と言えます。結果的な明らかな損害がない場合に賠償を取るのは非常に難しいのです。私が相手側なら、とにかくそれをメインに主張し、問題のない状態のインプラントが提供されているので、法的に損害を賠償しなくてはならない程の医療上のミスはないと主張します。手術後の後出血などはあったにせよ、それはよくある範疇のことで、カルテにもそう記載してあれば、結果、今、何ともなくインプラント体自体は使える状態でしょ。と言われれば、そこから先を進めるのは容易ではありません。それを思うからこそ原告にそれを伝え、それでもやりたいなら弁護士に依頼しない範囲で解決を計るのが良いと話しました。なぜならば、弁護士に依頼してことを進めても、弁護士費用を上回るお金は取れないだろうと思ったからです。原告はそれでも腹立ちが納まらないので、何とかやることはやると言います。

 原告の彼が何に腹をたてているのか。それは具体的には被告にゴミのように扱われたことです。例えば、被告歯科に通院出来なくなったあとに、彼の兄がインプラント治療を受けた別の歯科に行って、被告による原告(友人)の受けた治療が「デタラメだ!」的なことを言われたので、原告は当然頭に来て被告歯科に行き、「どーしてくれるんだ!俺の受けた治療はデタラメと言われたぞ!金返せ!カルテを渡せ!」という感じになったのでしょうし、この流れでは、こうなるのは、よくある話の範疇ではないでしょうか。

 前医を気軽にこきおろすこの歯科医師も問題ですが、被告も「日を改めてお話をさせて下さい」位の対応は出来なかったのでしょうか。その後被告は個人情報請求書を送りつけ、書いて提出したら、今度は、本人確認の書類が足りない、記載の訂正、批判した歯科医師の連絡先がない、と再度の提出を求め、批判した歯科医師の連絡先以外に応じて再度提出したら、「正常な業務に支障をきたす恐れがあるとかなんとか」で全ての原告の治療に関わるものの開示を拒否して来ました。つまり、しっかりと言われたものを言われたように手続きをした原告をあざ笑うようなことをしてのけたのです。よくある、壁に「右見ろ!」と」書いてあり右を見ると「上を見ろ!」そして「左を見ろ!」「下を見ろ!」と続き、最後に「バカ!」と書いてある、というようなことを原告は被告から味わったのです。

 ですから、何とか溜飲を下げたいと思うのも致し方ないでしょう。更に言うなら、被告は、この被告の治療を批判した歯科医師の連絡先を教えることがカルテ開示に必要な条件と最後まで真顔で要求している、この被告の感性というか論理性の欠如というか社会性の欠如は、どう理解すれば良いのでしょうか。全然要求としては成り立たない理由でしょう。私は被告が批判した歯科医師を知りたいのは興味本位のもので、真顔で連絡先をカルテ開示の条件としてるのは、冗談の範疇だと思っていましたし、以降の手続きの中で消えて行く文言だとばかり思っていました。(そしてもし、それを知ったとしたらどうしたんですかね。それこそ、その批判した歯科医師のもとに押し掛け、「俺の治療のどこがデタラメなんだ!」と、ヘタをすれば刃傷ざたにでもなっていたんじゃないでしょうかね。)しかし結局、訴訟になってもカルテ開示の拒否の正当性の根拠として主張し続け、とうとう判決の中であっさりと「カルテの開示にさしたる関係はない」と当たり前ですが、一蹴されています。まだあります、被告は原告が最初の個人情報開示請求書を被告歯科に持参した際に、原告はマスクを付け、血走った目をして、タメ口を聞き、最後は居酒屋に去って行った。という書面を法的場に提出しています。被告は、これを書くことで原告がまともではないということを印象付けたいのでしょうが、法的な場でこんな一方的な妄想のような思い込みは通用するものではなく、もし、本当にやるならば、写真や音声の録音など、ある程度証拠となるものがあっての話しになるでしょう。紛争の場にはこれと似たようなことは多々起きることもありますが、実際には、そんな用意周到な証拠があるケースはほとんどないので、気持ち的には分かるが、それを言っても仕方がないと諦め、他にもっと説得力のある材料を探す努力をするもので、いわゆる、言った言わないの範囲のものは持ち込まない、というのが法的な場のルールですし、もし、持ち込んでも相手にされません。。また、患者がタメ口を聞いたからと言って何が問題なのでしょう。一体、被告は何様になったつもりなのでしょう。(たかが、歯医者でしょ)案の定、これらの事柄については判決書面の中では全く触れられていませんでしたし、原告からの反論の中でも具体的に、花粉症なのでマスクが欠かせないものであったこと、原告は車での運送業務を社会人になってからこの方ずっと生業にして来たので、飲んで運転して来る訳がないことを示され、全く根拠のない誹謗中傷であり、逆に、臆面もなくこんな思い込みを、さも事実のように法の場に持ち込む被告の姿勢は如何なものか。とされてしまい、少なくとも裁判所の被告に対する印象は良いものにはならなかったでしょう。更に、私は、被告についている弁護士達も、こんなことをよく言われるままに出してくるなぁとも思っていました。これは、弁護士達は被告に言ったけれども全く理解されず、被告が固執し、言い張って、弁護士達もあきらめてしまったか、弁護士達のやっつけ仕事だったかのどちらかのような気がします。

☆次回に続く


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