インプラントで入れ歯を固定する方法

『インプラントで困ったら(4)人工歯根で入れ歯支える』読売新聞の連載4回目の記事です。今日の記事では、インプラントで入れ歯を固定する方法が紹介されています。

文中気になるのは「残っていた奥歯4本は抜き」と、さらっと書いてありますが、?が付きます。

そして、『インプラントの人工歯根による刺激があると、歯槽骨が保たれる。』とありますが、本当でしょうか?14歯分の入れ歯が数本のインプラントを揺さぶる事にはならないのでしょうか?

記事の患者さんはうまくいっているようなので、何よりですが、マグネットはともかく、バーで固定する方法は避けた方がよいと思います。

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咀嚼も歩行運動と同じ

咀嚼も歩行運動と同じです。人はすべて生まれてから死ぬまで「食べる」というトレーニングを続け、その人固有の咀嚼システムを作っていきます。ステーキを食べるときには強く噛み、豆腐を食べるときにはごく軽く噛む、という使い分けができるのも、無意識のうちにトレーニングが続けられてきたからです。

ものを噛むときの顎の動かし方、舌や歯茎の使い方、あるいは咀嚼の回数などは、人によって違います。AさんにはAさん固有の噛み方があり、BさんにはBさん固有の噛み方があって、まったく同じ咀嚼システムというのは存在しません。

父の場合、咀嚼システムは六五年という長い時間をかけて作られたものでした。これを破壊したのが、合わない入れ歯です。

噛み合わせの狂い

噛み合わせの狂いは、もちろん口の中にも悪影響を与えます。父の「最後の5本」がダメになったのは、合わない入れ歯によって噛み合わせが狂ったからです。

噛み合わせに問題がなかったときは、ものを噛んだときの応力(抵抗力)は、歯列全体にバランスよく分散していました。ところが、合わない入れ歯を無理して使っていたために、応力が特定のポイントに集中するようになった。その結果、歯と歯茎が脆くなってしまい、虫歯や歯周病が進行したのです。

すぐに発見していれば、歯を保たせることができたかもしれません。しかし、症状はかなり進んでいて、グラグラになった歯を治療によって安定させるのは不可能、というレベルにまで達していました。

治療はボロボロになった歯を抜き、歯茎を正常に戻すところから始めました。腫れている歯茎に合わせて入れ歯を作っても、うまく入るはずはありません。そこでまず、歯茎を元に戻したのです。

同時に、バランスよく噛む訓練をしました。父には「偏った噛み方」が身についていましたから、これをトレーニングによって修正していきました。

合わない入れ歯で円形脱毛症

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合わない入れ歯によって円形脱毛症が起きるのか? 不思議に思う人が多いでしょう。

その疑問にひとことで答えるなら、「入れ歯が合わないと噛み合わせのバランスが大きく崩れるから」ということになります。

父は、合わない入れ歯を無理して使っていました。当然、うまく噛むことはできません。それ以前とは違った噛み方でものを食べるようになり、それが一年以上も続いていた。これはつまり、ものを噛むための筋肉が不自然な動きをくり返していた、ということです。

一つの筋肉が偏った動きをくり返していれは、関連するほかの筋肉もそれをカバーしようとして、不自然な動きをくり返すようになります。父の場合は、その悪影響が側頭筋に及んだと考えられます。まず咀嚼筋のひとつである側頭筋に負担がかかり、その結果、側頭部に生えている毛が抜けてしまったわけです。

父の歯はボロボロ、髪の毛は抜け

問題を発見したのは、入れ歯を入れてから1年2ヵ月後も経ってからでした。その日、およそ2ヵ月ぶりに病院にやって来た父の口を見て、私は呆然となりました。

まず目についたのは、下顎前歯部の歯茎のふくらみと、そこから大量に出ている膿でした。残っていた歯は虫歯に冒されていて、これはもう抜歯せざるをえない、という状態です。2ヵ月前には問題に気づかなかったので、私は驚くより先に呆然となったのです。

こんな状態になるまで、毎日どうしていたのか。ともかく聞いてみると、下の入れ歯がきつくて合わなかったので、少し浮かして使っていた、との答えでした。父は我慢強い性質で、息子たちが作った入れ歯だからと、入れた当初からずっと不具合に耐えていたのです。

このとき、さらにもう一つ、父の体には変調が出ていました。側頭部のあたりの毛が、直径数センチにわたって抜け落ちていたのです。いわゆる円形脱毛症ですが、これも原因は「合わない入れ歯」でした。