歯とトランペット

永福町のつり舟割烹「三河屋」の大将とは家族ぐるみで20年近い付き合いになる。味とサービスは天下一。期待を裏切られた事は一度も無い、素晴らしいお店。

そこの長男Y君は高校2年生。全国大会レベルの吹奏楽部でトランペットを担当している。夕べは43回の伝統を誇る定期演奏会があった。

彼には潜在的な才能があったのだろう、トランペットを生まれて初めて手にして2年にも満たないのに、立派にこなしている。寝ても醒めてもトランペット。努力が苦にならない程打ち込んでいる。

夕べの演奏はどれもすごく良かった、指導する先生も仲間も素晴らしい。そして、3年生にとっては最後の晴れ舞台、青春の涙におじさんも潤っときた。

さて、歯の話し。随分前に「徹子の部屋」に出演していたジャズトランぺッターの日野皓正さんが、自分の歯型を大切に保管していて、演奏旅行の際には常に携帯していると語っていた。歯を治療する時にはその歯型通りに再現して貰わないと演奏に支障をきたすと言う。

一流と呼ばれる人はさすがに違うと感心した事を覚えている。万が一に備えている。

そして、歯が噛む為だけにあるのでは無い事も再確認。どんな人の歯も微妙な感覚まで気を配って仕事をせねば。と夕べのひたむきな高校生の姿に触発されました。(林裕之)

付け足し:Y君には中学生の妹がいる。彼女に「ちーちゃんは何か打ち込んでいる事があるの?」と聞いたら、やや間を置いて一言「生きる事。」………深い!

非専門家集団

友人に噛み合わせを専門にしていると言ったら、「歯医者はみんな噛み合わせの専門家じゃないの?」と聞かれ、言葉に詰まってしまった。

友人の驚きと疑問は至極当然なのだが、一方では悲しい現実を言い当ててもいる。

噛み合わせてナンボの歯を扱って暮らしているのに、大多数の歯医者も技工士も噛み合わせの正しい知識を持っていない、知ろうともしていない。

歯科界は非専門家が集まった専門職というなんとも不可解な業界です。

治療後の一言「そのうち慣れますよ。」が諸悪の根源。

この根の深さはちょっとやそっとでは語れない。

みなさんが通っている歯医者さんに一度聞いて確かめてみて下さい。「先生は噛み合わせの専門家ですか?」と。(林裕之)

歯売り屋

渋谷のあるビルの屋上看板に「インプラントあります!」の大きな文字。

一本いくらでインプラントを売る「歯売り屋」の品性のかけらもない宣伝文句。

それにしても都心の一等地の巨大看板の広告料はどれくらいなのだろう?

莫大な広告料を負担している患者さんは誠にお気の毒。

インプラントの実態を知りたい方には拙著「合う入れ歯 ダメな入れ歯」(ブリッジ、インプラントはやめなさい)講談社+α新書をお勧めします。たったの880円です。(林裕之)

大人になれば解る

子供心に誓った事があった。大きくなっても「大人になれば解る」と口にしないようにしようと。

「子供にはわからん」と言われてしまえば、返す言葉は無く、理不尽で割り切れない思いしか残らなかったからだ。

この誓いは割と守っている。少なくともこの言葉で子供の気持ちを突っぱねた事はないと思う。

しかし、大人になってみれば「大人にならなければ解らない事」や「解りたくなかった事」が多々あるのも事実で、確かに時を重ねれば誰もが自然と解る。(やっぱり子供に向かって言っても仕方がないのだ。)

ただし、職業には差が出る。

漫然と時を重ねているだけの歯医者や技工士には何十年経っても決して解らない理論や技法を、私は毎日の仕事で生かしている。

若い人よ、どんな時を重ねるか、それが重要。

大人になってからでは遅い!(林裕之)

耐震強度偽造と入れ歯

耐震強度偽造問題は大きくなるばかり、国会での質疑応答はとても堅気の人間とは思えない。

それにしても、実際の手抜き工事は現場の職人がしたのだから、業界全体の体質が腐っているのだろうか?

30年程前、技工士になりたてで、技工所に勤めていた頃、得意先の歯医者から壊れる入れ歯を作ってくれと言われた事がある。

安い保険の入れ歯はすぐ壊れてしまうから、高い自費の入れ歯を患者に勧めようとの魂胆。そんな歯医者もいるこの業界は建築業界の事は嗤えない。(林裕之)