週刊エコノミスト Online 毎日新聞社 | 歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話 | 林 裕之
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第25回 咀嚼と栄養から食を見直す 林裕之
現代人が好む食品は、軟らかく栄養が偏っているものが多く、咀嚼不足と栄養のアンバランスの元凶となっている。
前号までの2回で乳幼児からのよく噛(か)む習慣は、歯並びの乱れを防ぎ、記憶力などの能力を向上させることを解説しました。しかし、早い離乳や軟らかい食べ物が主流の食生活で、よく噛まず飲み込んでしまう子どもが増えており、噛む力は衰えている傾向にあります。対策として母乳育児を基本とし、ミルクの場合は母乳型乳首を使用し、乳歯が生えそろったら歯応えのある食事やガムなどで咀嚼(そしゃく)回数を増やすことを提唱しました。
そもそも論になりますが、よく噛むためには丈夫な歯が必要です。歯の元となる歯胚は、乳歯は妊娠前期に、永久歯(第2、第3大臼歯以外)は妊娠後期に完成し、徐々に歯の形に成長します。歯の表面を覆うエナメル質はカルシウム(ミネラル)、内側にある象牙質はたんぱく質が主成分で、どちらも形成のためにビタミンA、C、Dが必要です。図は歯胚の完成時期とカルシウムの多い食品ですが、カルシウムはいろいろな食品に含まれており、これらにはたんぱ…。…【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第24回 乳児からよく噛む習慣を付けよう 林裕之
前号で成長期の子どもの咀嚼(そしゃく)が咬合(こうごう)力(噛(か)む力)や記憶力に大きな影響を与えることを解説しました。能力だけでなく、永久歯の歯並びも乳幼児からの咀嚼が影響します。
子どもの虫歯は減少していますが、叢生(そうせい)(乱ぐい歯)のある子どもは増えています。叢生とは「歯の大きさと顎(あご)の大きさの間に起こるアンバランスにより、歯が部分的に重なってしまう状態」(厚生労働省 e-ヘルスネット)のことです。臼歯(きゅうし)が重なり合うことは非常にまれで、主に前歯の歯並びが乱れます。12~15歳で叢生のある人は34.5%(2005年)から43.8%(11年)と増加傾向です(歯科疾患実態調査/厚労省)。叢生の原因と考えられるのが、乳幼児期からの咀嚼不足です。
乳歯も永久歯もその大きさは生える前から決まっています。永久歯に生え変わる時期に顎が十分発育していないと、大きさの決まっている歯が顎に収まりきらず、ねじれたり、重なり合ったりして歯並びが乱れてしまうのです。…【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第23回 噛まない子どもは損をしている 林裕之
前号までの3回で、咀嚼(そしゃく)運動には脳を活性化させる作用があること、セロトニンの分泌を促してストレス軽減効果などがあることを解説しました。しかし、軟食化の影響で咀嚼回数が少ない現代人はその恩恵を十分に得ていないことも指摘しました。咀嚼不足は大人に限らず成長期の子どもにも、さまざまな影響を与えることが数多く報告されています。
1995年に発表された『咀嚼の大切さ』(鈴木隆著、岩手医科大学歯学部生理学講座)において、「よく噛(か)める子どもは知能指数が高い傾向があり、咀嚼訓練で記憶力が高くなる」とした論文が紹介されています。知能指数は先天的要因も高く、咀嚼力の影響の程度がはっきりしません。
噛まずに済む軟食ばかりの成長期の子どもたちのための「咀嚼不足解消」に真剣に取り組む時だ。
そこで記憶力を調べました。同じ給食を食べる幼稚園児を2組に分け、一方(実験群)には給食にカツオの薫製3グラムを加えて咀嚼訓練をし、他方(対照群)は普通のメニューだけを与えました。これを半年間続け、実験前と実験後に測定した咬合(こうごう)力と数唱テスト(記憶力テスト)の点数を比較しました。
その結果、咬合力は平均2.1キログラム増(対照群)→7キログラム増(実験群)。数唱テストは0.6点増(対照群)→1.3点増(実験群)となりました。両群の違いはわずか3グラムのカツオの薫製だけですが、半年間でこれだけの差が生じたのです。およそ30年前の実験ですが、近年ではfMRI(機能的磁気共鳴画像化装置)など先端機器で咀嚼が脳を活性化することは科学的に証明されていますので、成長期の子どもの咀嚼力の重要性が裏付けられます。見方を変えれば、よく噛まない子どもは本来あるはずの能力を十分伸ばせず損をしているといえます。
さらに踏み込んだ結果がありました。「医療技術ニュース」の「成長期に食べ物をよく噛まないと記憶力が低下、咀嚼は認知症予防にも(2017年7月公開)」というタイトルの記事です。
「東京医科歯科大学は17年6月16日、成長期の咀嚼刺激の低下が記憶をつかさどる海馬の神経細胞に変化をもたらし、記憶・学習機能障害を引き起こすことをマウスモデルで示したと発表した」
固形食と粉末食に分けたマウスの比較で、粉末食で育てたマウスの“海馬…【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第22回 ガムを噛んで「幸せホルモン」を出そう 林裕之
ストレス緩和効果があり、咀嚼が不足がちな朝や受験、重要な会議前など特別な日に、実践するといいでしょう。
前回までに、咀嚼(そしゃく)運動が脳内血流を促進して脳全体が活性化すること、特に高齢者ほど前頭前野が活性化し認知症予防の一助となる働きがあることを解説しました。
今回は、咀嚼のストレス軽減作用についてです。現代人は誰もが何らかのストレスを抱えて生活しています。ストレスは心身の不調につながり、強いストレスが長引くとうつ病の原因にもなります。
ストレス源やストレスに対する感受性は人それぞれですが、脳内神経伝達物質の一種のセロトニンにはストレス緩和作用があります。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神を安定させ幸福感を得やすくする働きがあります。セロトニンは比較的簡単な方法で分泌を高められることが解明されていますので、活用しない手はありません。
セロトニンの分泌を高める方法はリズム運動で「咀嚼」はその一つです。一定のリズムでよく噛(か)むことでセロトニンの分泌が高まるのです。その他に呼吸や歩行もリズム運動です。どの運動も5分後くらいからセロトニンの濃度が高まり、20~30分ほどでピークになり、その状態が2時間ほど続くとされています。
食事で最低でも5分以上リズムよく噛み続けることがセロトニン分泌の条件です。やはり規則正しくよく噛んで食べる習慣が大切です。しかし、食べ物の軟食化や、牛乳やスープ、ジュースなどで噛まずに栄養摂取できるなど咀嚼回数も食事時間も短いのが現代人の食生活の実態です。ストレス軽減効果のあるセロトニン分泌の機会を逸してしまっているとも言えます。
忙しい朝、特別な日も
そこで、提案するのがガム咀嚼です。食事以外の時間に5分以上ガムを噛むのです。ガムの利点は「ながら噛み」ができることです。食事の支度や後片付けの最中、外食への行き帰りなど食事時間と組み合わせることもできます。許される環境なら仕事中や授業中に噛みましょう。それが無理でも家庭でなら何をしていても「ながら噛み」が可能です。
忙しい朝は特に咀嚼が不足しがちです。朝食を抜いたり、野菜ジュースやスムージーなどの飲み物だけでは咀嚼効果が得られません。身支度を整えながらや通勤・通学しながらでもガムで朝の咀嚼を補いましょう。ガム咀嚼で高まったセ…【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
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第21回 よく噛んで食べる=人として生きること 林裕之
生命維持に欠かせない栄養やエネルギーの摂取と同時に、人間社会を生きる上で必要な知的活動も活性化させます。
前号で咀嚼(そしゃく)運動には脳を活性化する働きがあると解説しました。脳が活性化するのは、神経活動が活発化するということです。脳は部位別にさまざまな機能があることが判明していますが、咀嚼運動によって活発化する部位はfMRI(機能的磁気共鳴画像化装置)で特定されています。
fMRIとは、MRIによる脳の構造情報の上に、脳の機能活動がどの部位で起きたかを画像化するものです。ガム咀嚼(32秒間噛(か)んで、32秒間休止)を4回繰り返した実験結果で活性化が特定されたのは、年齢に関係なく大脳皮質の運動野、感覚野、さらに小脳、視床などさまざまな部位に及んでいました。
ただし、実験のように意識して噛むことが重要で、早食いやよく噛まないで飲み込んでしまうと、脳は活性化しないそうです。現代人は軟食化でよく噛まずに飲み込んでしまうことが習慣化しています。食事だけでなくガム咀嚼などで実験のように脳を活性化させましょう。
前記と同様の実験で明らかになったのは、前頭前野の活性化です。前頭前野は額の内側、脳の前方に位置し大脳の30%を占めています。脳の最高中枢とも呼ばれ、主な機能は「思考する」「行動を抑制する」「コミュニケーションする」「意思を決定する」「感情を抑制する」「記憶をコントロールする」「意識や注意を集中させる」「注意を分散させる」「意欲を出す」など高度な知的活動です。
咀嚼と認知症予防
これらは人間特有の社会生活を営むうえで欠かせないものばかりです。噛むこと(咀嚼運動)は生命維持に欠かせない栄養やエネルギーを摂取すると同時に、人間社会を生きる上で不可欠な知的活動も活性化させているのです。「よく噛んで食べることは人として生きること」にほかなりません。人類の進歩も咀嚼運動の特性があってこそと言えます。
この実験では前頭前野の活性化は高齢者ほど顕著でした(図)。視点を変えると前頭前野の働きが損なわれた状態は、認知症の症状に一致します。認知症の原因はさまざまで、決定的な治療法はまだありません。しかし、よく噛むことで高齢者ほど、この前頭前野が活性化されるのですから、若いうちからよく噛む習慣を身につけることが大切です。個人差は…【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第20回 咀嚼運動が脳内の血液循環を促す 林裕之
食べ物を体内に送り込むだけではなく、脳内の血液循環を促して脳を活性化させる働きがある。
私たちは生活していくことを「食べていく」と言います。家族や子どもを養うことを「食べさせる」と言います。食べることは生きることに他なりません。おいしいものや好きなもので、おなかを満たせば幸せな気分に浸れます。
その一方で肥満や生活習慣病など健康を損なうことのないように食べ物の質や栄養バランスなどには気を使います。健康食品やサプリメントも売れています。このように口に入れるものには気を使いますが、口の動かし方(咀嚼(そしゃく))はさほど気にかけません。
普段は無意識に行っていますが、咀嚼とは食べ物を歯で細かく砕きながら唾液と混ぜ飲み込むまでの動作です。歯、顎(あご)、咀嚼筋、唇、頬、舌が連携して行う一連の動きで咀嚼運動とも言います。
咀嚼と脳
咀嚼運動には食べ物を体内に送り込むだけではないいくつもの働きがあります。
脳内の血液循環を促して脳を活性化させる働きもそのひとつです。脳の重量は体重の2.5%(約1.3~1.5キログラム)ほどですが、1日に消費するカロリーは成人の平均的基礎代謝量(1500キロカロリー)の20~30%(300~450キロカロリー)を占めています。主な栄養はグルコース(ブドウ糖)で、酸素とともに血流で運ばれます。その血流量は1分間に約800ミリリットルです。1分間の心拍出量が約4.5リットルなので20%弱が脳に流れます。
常に新鮮な血液を大量に必要とする脳ですが、噛(か)む動作(咀嚼)には脳内の血液循環を促す働きがあるのです。下顎を動かす咀嚼筋の一種の翼突筋は左右の頬の内側にあり、この周りに多くの静脈が集まった叢(そう)(翼突筋静脈叢)があります。下顎が動くことでポンプの役割となり、脳で使用された血液はここを経て心臓に送られます。
脳へ血液を送る作用は歯を支える歯根膜にあります。歯は骨に直接付いているわけではなく、歯根膜というクッションのような組織で支えられています。咀嚼でものを噛んだ圧力で僅かに沈んだ歯根膜が血管を圧縮し、脳内へ血液を送ります。その量は一度の咀嚼で約3.5ミリリットル(ティースプーンの半分)と言われています。僅かな量ですが、何度も噛むことで脳内への血流が促されます。古い血液は翼突筋静脈…【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
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第19回 噛まないと噛めなくなる 林裕之
軟らかい食物が多くなった現代人の咀嚼回数は減り続け、若年層の噛む力は急速に衰えている。
江戸時代から戦前まで1食1400回の咀嚼(そしゃく)回数を支えたコメの消費量は減り続け、1970年代に本格化した洋食化で、栄養豊富で軟らかい副食が主役の食生活へと変貌しました。噛(か)まずに飲むだけで栄養が摂取できるスープや牛乳、ジュース類も浸透し1食620回となりました。「軟食ネーティブ」と名付けた70年生まれも50歳代となり、今は第3世代が生まれ始めています。
軟らかい食べ物ばかりだと、噛む回数が減るばかりでなく、噛む力も衰えます。戦前の人は特に硬いものを噛んでいたわけではありませんが、硬いものも難なく食べられたようです。30年ほど前にこんな新聞記事がありました。
ある高齢者が、近ごろのかりんとうは軟らかいので、子どもの頃食べていた硬いかりんとうを作ってほしいと投書したところ、あるメーカーが昭和初期のかりんとうを忠実に再現しました。すると、硬すぎて誰も噛めなかったというのです。
噛む回数が多かった昔の人々は噛む力も強かったことを物語る逸話として記憶に残っています。現代人の噛む力の衰えは、厚生労働省による2019(令和元)年 国民健康・栄養調査結果からも読み取ることができます。
図は「半年前に比べて硬いものが食べにくくなった」「左右両方の奥歯でしっかり噛み締められない」という問いへのアンケート結果をグラフにしたものです。特に気になるのが後者の結果で、20代、30代でほぼ5人に1人、40代で4人に1人が「左右両方の奥歯でしっかり噛み締められない」と自覚しているのです。
「噛むと疲れる」10代
また、日本歯科医師会が20年に行った別の調査では、「食事で噛んでいると顎(あご)が疲れることがある」の問いに、10代48%、20代39%、30代38%、40代34%が「ある」と答えています。特に10代は約半数が「噛んでいると顎が疲れることがある」のです。
一般に高齢になれば噛む力が衰えることは理解できますが、どちらの調査でも若年層に「噛む力」に問題がある人の割合が高いことを示しています。
特に10代に多い「噛んでいると顎が疲れることがある」は、コロナ禍での食生活も影響しているのではないでしょうか。家庭での食事が増え便利に使えたのが……【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
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第18回 噛まなくなった日本人の謎に迫る(2) 林裕之
1970年代前半を境に急速に進んだ、ボリュームたっぷりの食の欧米化が大きく影響している。
前号で現代人の咀嚼(そしゃく)回数が減った理由を解き明かしました。江戸時代から戦前の日本人が1食当たり約1400回も噛(か)んでいたのは、食べ物が硬かったからではありませんでした。少ないおかずで大量のコメ(1日4合=炊きあがり1.3キログラム、お茶わん約9杯)を食べていたからです。必然的に噛む回数は多くなります。戦後、コメの消費量は減り続け、2020年は1日0.9合と戦前の4分の1以下です。コメを咀嚼する回数は減りますが、おかずは昔より増えたのに咀嚼回数が減ったのはなぜなのでしょう?
敗戦後の困窮と混乱から立ち直り、1964(昭和39)年に開催された東京オリンピックで日本は先進国の仲間入りを果たしました。しかし、この頃はまだ1日約2合のコメを食べていました。その後も高度経済成長の波に乗って庶民の所得も増え、炊飯器や冷蔵庫などの電化製品も普及し食卓も徐々に豊かになっていきます。
日本人の食が大きく変わったのは70年代に入ってからです。70年に大阪で開催され183日間の開催期間中の入場者が6422万人と大成功した万国博覧会は大きなインパクトを残しました。世界77カ国のパビリオンは島国日本に暮らす私たちに外国文化を見せつけました。
万博会場にパイロット出店された日本初のケンタッキーフライドチキンは大人気で、食の欧米化の先駆けとなりました。翌年からハンバーガーなどのアメリカ食、あるいはファミレスのようなアメリカ方式の外食が瞬く間に浸透し、それまでになかった食生活や食行動に大変革したのです(表)。
軟食ネーティブ
家庭での食生活も変わります。それまでの少ないおかずで大量のご飯を食べるから、おかずが増えてご飯が少ない食事に変化しました。トンカツやハンバーグはおかずとしてはボリュームがあり、ご飯は少なくてもおなかがいっぱいになります。総じて噛む回数は少なくて済みます。
また、ハンバーガーやカップヌードルも軟らかいのであまり噛まなくても飲み込めます。スープや牛乳、ジュース類は噛まずに栄養摂取できます。マヨネーズやケチャップも常備されるようになり、副食が高栄養化します。
70年前後生まれからは、それまでの和食にはない味覚と栄養豊富……【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
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第17回 噛まなくなった日本人の謎に迫る 林裕之
江戸時代から戦前までほとんど変わらなかった1食の咀嚼回数が戦後に半減したのはなぜか──。
「ゆっくりよく噛(か)んで食べる」──。誰もが知っている健康の基本です。よく噛むことにはさまざまな効能(後号で詳述)があるのですが、実情は「よく噛まずに食べている」人が大多数でしょう。実際、現代人の噛む回数は減っています。
図は日本人の咀嚼(そしゃく)回数の変化を表したものです。各時代の食事を復元し、噛んだ回数をカウントしました。弥生時代が突出しているのは調理技術が未発達で生に近いものを食べていたためだと思われますが、この中で特徴的なのは江戸時代初期の1465回から戦前の1420回まで約300年間は咀嚼回数にほとんど変化がないことです。それが戦後620回と半分以下に急減します。
1日にお茶わん約9杯
一般的に噛まなくなったのは、昔に比べて硬い食べ物が減ったからと説明されています。硬い食べ物は何度も噛まないと細かくならないので必然的に噛む回数が多かったという理屈です。
しかし、江戸時代以降の伝統的な食事は米飯にみそ汁、それに漬物や煮物、焼き魚などが基本。特に硬いものが多いとは思えません。したがって、硬い食べ物が減ったから噛まなくなったという説は今ひとつ釈然としません。
答えは『雨ニモマケズ』にありました。『銀河鉄道の夜』などの作品で知られる宮沢賢治は『雨ニモマケズ』という詩も残しました。昭和6(1931)年に書かれたその詩の一節に「1日に玄米4合とみそと少しの野菜を食べ」とあります。
1日に玄米4合!? 今と全く違う米の摂取量です。炊いた玄米4合は1.4キログラム、ご飯茶わん(150グラム)約9杯分となります。これだけの量をみそと少しの野菜だけで食べていたというのです。さらに調べると、江戸時代後期は1日に3~5合、明治時代の軍隊は毎食2合の麦飯で1日6合(2.1キログラム)も食べていました。大正時代の織物工場で働く女性工員たちも1日に4合の米を食べていました。
江戸時代から戦前の人々は少ないおかずに大量の米飯を食べるのが当たり前だったのです。この量を食べれば噛む回数も多くなります。玄米や麦飯ならなおさらでしょう。つまり、硬いものが多かったのではなく、食べるコメの量が多かったので噛む回数も必然的に多くなったのです。食事時間……【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
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第16回 「審美」というマーケット 林裕之
「歯は黄色いより白いほうがいい」「歯並びの乱れはかっこ悪い」と言う歯科医は要注意です。
歯の色は白いほうがいい、歯並びが乱れていないほうが良い──。これらは医学的根拠がない間違った認識であることは前号までに解説しました。問題なのは歯科医自身がこの間違いを流布していることです。テレビに出て歯は黄色いより白いほうがいい、歯並びの乱れはかっこ悪いとまで言っている歯科医がいるほどです。医学に程遠い理屈で一般の人のコンプレックスを煽(あお)るデンタルハラスメントです。
また、矯正歯科医や審美歯科を標榜(ひょうぼう)する歯科医は「アメリカでは歯列矯正して良い歯並びにするのは当たり前」「八重歯は欧米ではドラキュラの歯として嫌われる」などと口にします。これも大間違いで、そんなことはありません。
先日アメリカに帰化して45年になる友人に実情を尋ねたところ、「富裕層には多いかもしれないが、歯列矯正は当たり前ではない。歯並びの乱れを気にしない人もたくさんいる」と言います。また「他人の歯をドラキュラの歯などと言ったら即、訴えられる。テレビでそんなことを言うなんて信じられない」とのことでした。
歯並びだけでなく、容姿や外見を揶揄(やゆ)したり、差別することは絶対のタブーだそうです。そもそも、なぜ欧米を持ち出すのでしょう? そうした歯科医の言い分を聞いていると、自分自身が欧米コンプレックスを持っているようです。それも白人に対してで、黒人やアジア人を例にすることはありません。
歯科医の過当競争
歯科には医療法で看板などに標榜してよい診療科目が定められています。「歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「口腔(こうくう)外科」の四つです。審美歯科は標榜科目ではないのですが、見た目をキレイにする歯科として浸透しています。
審美を辞書で引くと「自然や美術などのもつ本当の美しさを的確に見極めること。また、美の本質・現象を研究すること」とあります。この概念は歯に当てはまりません。歯は自然や美術のように美の対象ではありません。美醜は人それぞれが持つ主観です。時代や地域によっても異なります。美しい歯と醜い歯の歯科的基準は存在しません。
白い歯にしたいとか歯並びを整えたいという美容的要望があるのは事実です。歯に対するコンプレックスが解消される効果があることも理解………【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
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第15回 「白い歯信仰」を捨てよう 林裕之
歯の色にコンプレックスを感じる必要はない。各人固有の身体的特徴の一つでしかないのです。
歯並びと同じように間違った認識でコンプレックスを抱きやすいのが「歯の色」です。審美歯科評論家を名乗る歯科医はテレビ番組の中で「黄色い歯より白い歯のほうがいい」と真顔で言っていました。今どきこんなことを言う歯科医がいるのかと耳を疑いました。たちの悪いデンタルハラスメントです。
歯科医ですらこんな調子ですから、一般の人が根拠のない「白い歯信仰」を持ってしまうのも仕方ないのかもしれません。
しかし、これは全く間違った認識です。歯の色に優劣はありません。白いほうが健康ということもありません。白い歯もあれば、茶色い歯、黄色い歯など十人十色です。目や肌、髪の色が違うように歯の色も各人固有の身体的特徴(個性)の一つでしかないのです。
コーヒーや赤ワイン、タバコのヤニなどの着色汚れが歯磨きでとり切れない場合は歯科医院で落とせます。すると、その人本来の歯の色になります。写真は前歯の被せ物などの際に隣の歯や噛(か)み合う歯と色を合わせるための色見本です。これだけでも16色ありますが、私の歯のようにさらに濃い色の歯など色見本にはない歯も多数存在します。
蔓延(まんえん)する白い歯信仰が原因で生じたコンプレックスを解消するために、審美歯科や美容歯科を受診する人も増えています。歯の色を変える方法は主に2種類で、ホワイトニング(漂白)と、白い人工の歯に置き換える補綴法(ほてつほう)です。
高額でリスク伴う補綴法
ホワイトニングは自分の歯を漂白するので、噛み合わせなど機能の変化は伴いません。問題なのが自分の歯を削って人工の白い歯に置き換える補綴法です。自分の歯の表面、または全周を削ってその部分を人工の歯に置き換えるのです。こちらは噛み合うポイントなどの変化を伴います。削る歯の本数が多いほど噛み合わせが変わるリスクは大きくなります。
歯列矯正で短期間に噛み合わせが変化し、それが原因で、虫歯や歯周病、口が開かない、顎(あご)が痛む、首や肩のコリ、不眠などの不快症状が起こる実例は前号までに説明した通りです。これと同じことが白い人工の歯に変えたことで起こる場合があるのです。
人工の歯に置き換えると、それまでの咀嚼(そしゃく)運動に影響を与えます。この変化に……【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
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第14回 蔓延するコンプレックス商法 林裕之
虫歯や歯周病の予防法はホームケア(自分で歯磨き)、プロケア(歯科医や歯科衛生士によるケア)、噛み締め、歯ぎしりの是正の3本柱。
歯列矯正を勧める理由に「歯並びの乱れは虫歯や歯周病、顎(がく)関節症の原因となる」といいます。前号に登場した審美歯科評論家の歯科医は、「歯並びが悪いと全てに悪い」とまで豪語したのです。果たして本当なのでしょうか?
歯並びの乱れと虫歯、歯周病、顎関節症を結びつける医学的エビデンスは現時点で存在していません。一方で歯並びと虫歯や歯周病、顎関節症は相関しないという論文はあるのです(矯正治療の基礎知識 多摩デンタルインフォメーション)。
一般的に歯が重なっていると、その部分が磨きにくい→その部分から虫歯や歯周病になる→歯列矯正して歯並びを整えると磨きやすくなる→虫歯や歯周病が予防できると思われています。素人目にも納得しやすい、この構図を専門家も信じているだけなのです。
虫歯も歯周病も基本的な予防法は、ホームケア(自分で歯磨き)、プロケア(歯科医や歯科衛生士によるケア)、噛(か)み締め、歯ぎしりなどの是正──この3本柱です。前述の構図にはプロケアが抜け落ちています。素人が磨きにくい部分は歯科医や歯科衛生士に磨いてもらえばいいのです。歯科医院には専用の機器があるので、きれいになります。自分で磨けない部分はプロケアに頼り、噛み癖是正の対策を実践すれば、高額な歯列矯正をしなくても虫歯や歯周病は防げるはずです。
男性アイドルの賢い選択
男性アイドルのMさんはこれを実践しています。彼は左右の八重歯が特徴です。やはり歯列矯正を勧められるそうです。しかし歯列矯正する気はなく、そのかわり定期的なプロケアを欠かさない、と言っていました。
歯列矯正で虫歯や歯周病になったり、奥歯が噛み合わない、口が開かない、頭痛、肩こり、不眠、パニックなどリスクは多岐にわたります。実際にあった症状です。もちろん誰にでも必ず起こるわけではありません。でも、Mさんは歯列矯正をしないのですから、このリスクはありません。磨きにくい部分は定期的なプロケアでリスク管理しています。
歯の一番の役割は食物を噛み砕くという機能です。歯並びが乱れていても、咀嚼(そしゃく)できることが肝心です。本来の歯科矯正はこの機能に問題があるときの改善法なので…【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
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第13回 歯列矯正の怖い本当の話 林裕之
リスクを事前に知らされず、安易に始めた治療がとんでもない悲劇を引き起こすことがある。
歯をテーマにした情報番組は録画してチェックしています。いいかげんな情報もありますが、勉強になる情報もあります。歯並びをテーマにしたバラエティー番組が4月に放送されました。上顎(うわあご)の前歯が重なって生えているお笑い芸人Aさんの歯並びを変える方法などが紹介されましたが、いいかげんな内容の典型でした。
特に審美歯科評論家の肩書で出演していた歯科医のコメントにあきれ、腹が立ちました。自身の歯科医院の最新機器での歯列矯正のシミュレーション画像を示し、歯並びを変えることは「簡単にできる」と言います。まず、これが危険です。歯を移動することのリスクが全く考慮されていません。知らないとしたら歯科医失格です。
林歯科には、歯列矯正で歯並びを変えたために奥歯が噛(か)み合わない、口が開かない、虫歯や歯周病、顎(がく)関節症、頭痛、肩こり、不眠、パニックなどさまざまな弊害に苦しむ患者さんが多く来院されています。歯列矯正リスクを知らなかった悲劇です。歯並びはある日突然乱れるわけではありません。たとえ乱れた歯並びでもそれに調和した噛み合わせで咀嚼(そしゃく)(顎運動)しているのです。
乳歯は5歳ころから永久歯に生え替わり始め、第二大臼歯の歯根が完成する15歳くらいで永久歯列は完成します。この期間は心身ともに大きく変化する成長期です。歯並びは心身の他の器官と連携して成長する各人固有の身体的特徴です。
コンプレックス商法
お笑い芸人のAさんは40歳といっていましたので、35年間Aさん固有の歯並びで生活してきたのです。番組のシミュレーションでは矯正には2~3年かかると言っていました。かなり長期間だと思われるでしょうが、5歳からの35年に比べれば短期間です。歯列矯正で歯を移動させると、上下の歯の接触関係が変わります。この噛み合わせの急変に歯、舌、顎関節などと協調した咀嚼システム(顎運動)がついていけず、口が開かない、噛めないといった症状が表れ、やがて全身に影響するのです。
もちろん歯列矯正した全員に同様のことが起こるわけではありません。しかし、矯正前にこうしたリスクがあることは知らされるべきです。そのうえで慎重に取り組むべきなのに安易に「簡単にできる」とはあきれるばかりです。揚げ句の果てに歯並びが乱れているのは「かっこ悪い」とまで言ったのです。【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第12回 歯磨き粉は必要なのか? 林裕之
不可欠だと思われているが、その効能は江戸時代に見抜かれていた。
前号で歯周病対策は歯を守るだけでなく、生活習慣病やアルツハイマー型認知症の発症予防のひとつであることを解説しました。私もすでに7本の歯を失っていますので、残りの歯を守るための歯周病対策に本腰を入れることにしました。
今まで歯周病専門医に診てもらったことがないので、歯周病専門医がいる歯科医院を検索し、通いやすいことを条件に某歯科医院に予約しました。初診では簡単な問診票に記入後、診察となりました。口全体のレントゲンを撮り、残っている全ての歯の歯周ポケットの深さを記録します。この時点で、所々深いところもあるが、歯周病としては軽度と告げられました。
次に歯磨きが正しくできているかを判定するために歯垢(しこう)を赤く染める液体で口を漱(すす)ぎます。歯と歯茎の境目付近を中心に赤く染まっていました。それを取り除くための歯ブラシと歯間ブラシの使い方を教わります。私の状態に合うという歯ブラシを300円で購入し、手鏡を見ながら歯ブラシの毛先を細かく振動させるようにすると、赤い歯垢が落ちて歯の表面が見えてきます。歯と歯の間は歯間ブラシで落とします。
どちらも歯磨き粉は使いません。残っている21本の歯をきれいにするには相応の時間を要します。また、普段の歯ブラシの使い方のクセで磨き残しやすい箇所も特定できました。初回はここまで、次回までセルフケアに励むことを言い渡され終了です。以後1日に1回は10分ほどかけて磨いています。
平賀源内の名言
歯周病専門医の歯磨き指導では、歯磨き粉は使いませんでした。同じ経験をお持ちの方も多いと思います。しかし、さまざまな効能を謳(うた)う歯磨き粉は次から次へと販売され、盛んに宣伝もされます。歯磨き粉は必要なのでしょうか?
江戸時代中期の著名な蘭学者で発明家でもある平賀源内は、元祖コピーライターとも評されています。売り上げの落ちる夏場にウナギを食べさせるために作った「本日土用の丑(うし)の日」は現代でも夏の風習として根付いているから感心します。
その平賀源内が当時の歯磨き粉「漱石香(そうせきこう)」の引き札(チラシ)用につくった冒頭部分は皮肉が利いています。「きくかきかぬかの程、私は夢中にて一向存じ申さず」──。つまり、歯磨き粉は「効能があるかどうかはわからないけれど、害にはならない」と、実態を逆手に取って宣伝しているのです。【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第11回 「歯周病菌とアルツハイマー型認知症 林裕之
現在の生活習慣の定義から抜け落ちている「口腔ケア習慣」を加えて、周知徹底する必要があると警鐘を鳴らす。
アルツハイマー型認知症は、脳神経細胞の周りにアミロイドベータたんぱく(Aβ)、脳神経細胞の中にタウたんぱくがたまり脳機能に障害を生じて起こるとされています。
なぜ、Aβやタウたんぱくがたまってしまうのかは解明されていませんが、歯周病の原因菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス菌(Pg菌)の成分がアルツハイマー型認知症患者の脳内に検出され、歯周病によるアルツハイマー型認知症への関与が注目されました。そこで、九州大学の研究グループはマウスの全身にヒトのPg菌を3週間連続投与する実験を行いました。
その結果、マウスの肝臓でAβが作られていることを突き止めました。これまでAβは脳内で産生、蓄積すると考えられてきましたが、歯周病の原因菌であるPg菌が脳外でAβの原材料になりうると示されたのです。マウスの実験ですが、ヒトの体内でも起こっていると考えられるとも言及しています。
また、若いマウスでは少なく中年のマウスに多いことも判明しています。アルツハイマー型認知症の原因は一つではありませんが、Aβが蓄積し始めて20~30年後に発症するといわれています。口腔(こうくう)内からPg菌を排除するためのケアは歯だけでなく、脳のためにも欠かせません。
「生活習慣」の再定義を
アルツハイマー型認知症との関連が示唆されたPg菌が、自分の口腔内に生息しているのが気になります。実施できる歯科医院は限られますが、Pg菌の量を検出する検査があります。「オルコア」と呼ばれる自費の検査(5500円~)です。
コロナウイルスの感染判定で用いられたPCR(ウイルスの遺伝子)検査と同じ方法で口腔内のPg菌の有無と量を測定します。歯磨きやうがい薬の使用から3時間ほど経過後、歯に付着している歯垢(しこう)を少量取るだけなので痛みなどはありません。45分ほどで結果が出ます。 【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第10回 「認知症」を歯科目線で考える 林裕之
歯周病菌や咀嚼(顎運動)と関係することから、今回はこの認知症について私の体験を踏まえて解説しよう。
70歳を前に心身のあちこちに不具合を生じることが多くなりました。物忘れもその一つで、仕事の予定や買い物などはスマホのリマインダーや付箋へのメモが欠かせません。時にはメモしたことすら忘れることがあります。すると、気になるのが認知症です。歯周病菌や咀嚼(そしゃく)(顎運動(がくうんどう))とも関係することから、今回はこの認知症について私の体験を踏まえて解説します。
認知症とは、脳の機能(記憶、認識、思考、判断力など)が持続的に障害され、日常や社会生活に支障をきたすようになった状態とされています。
主な認知症とその割合は「アルツハイマー型認知症67.6%」「脳血管性認知症19.5%」「レビー小体型認知症4.3%」「前頭側頭型認知症1.0%」です(2020年時点)。
アルツハイマー型認知症を発症するきっかけは、「アミロイドβ(ベータ)」や「タウたんぱく」が脳に異常にたまること。しかし、なぜそれらが脳にたまってしまうのかは、現段階でははっきりと解明されていません(アミロイドβやタウたんぱく説を否定する説もある)。
23年12月20日に新規アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が保険適用となりました。年間薬価は約298万円と高額です。適応対象は「軽度認知障害」と「軽度の認知症」(全体の約1割)と初期症状限定なのが難点です。
認知症が進行すると介護が避けられません。老老介護やダブル介護(子の養育と親の介護の同時進行)、ヤングケアラーなど家族にとっても肉体的、経済的な負担も大きく、介護離職による経済的損失は1年当たり約6500億円になると見込まれ、社会問題にもなっています。
この先は高齢者の多い期間が続きます。25年に予想される認知症患者数は約675万人、65歳以上の5.4人に1人の割合と想定されています(内閣府「高齢社会白書」2017〈平成29〉年度版)。
血液検査で分かるリスク
気になるのは、この5.4人のうちの1人に自分が含まれるかどうかです。7割近くを占めるアルツハイマー型認知症の発症リスクを調べる方法があると分かり、私が受けてみました。 【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第9回 口腔内には善玉菌と悪玉菌がいる 林裕之
虫歯菌や歯周病菌はさまざまな全身疾患と関わっている。
私たちは体の内外に生息するさまざまな常在菌と共生しています。中でも「脳腸相関」など腸内細菌と心身の健康に関する研究が進み、腸内環境を整える「腸活」関連の食品やサプリが売れているようです。ちなみに、糞便(ふんべん)の半分は腸内細菌かその死骸の塊だそうです。
口腔(こうくう)内にも善玉菌と悪玉菌が混在しています。前者は乳酸菌(ミティス菌)などで、後者はカンジダ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿(りょくのう)菌、肺炎桿菌(かんきん)、インフルエンザ菌などです。
虫歯菌(ミュータンス菌など)や歯周病菌(ジンジバリス菌など)も悪玉菌です。悪玉菌が食べ物や唾液と一緒に気道に入ると誤嚥(ごえん)性肺炎を起こし、高齢者の死亡原因になることはよく知られています。歯周病菌もさまざまな全身疾患と関わっていることが報告されています。
糖尿病と歯周病菌
糖尿病は疾患が疑われる人を含めると、日本人の5~6人に1人(約2000万人)が罹患(りかん)しているとされています(厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」)。自覚症状がないまま進行し、重症になると人工透析や失明、足の切断など重篤な合併症を引き起こします。
糖尿病の人に歯周病が多いことは以前から知られていましたが、逆に歯周病になると糖尿病が悪化することが明らかになっています。さらに、歯周病を治療することで糖尿病が改善することも分かってきました。
糖尿病の人が1日2回以上うがいをすると歯周病に関連する菌が減って血糖管理が改善するという報告があります。殺菌・消毒効果のあるグルコン酸クロルヘキシジンを含むうがい薬が有効だそうです。 【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第8回「噛み癖を直して歯の寿命を延ばす⑵ 林裕之
対策として絶大な効果がある「咀嚼筋マッサージ」をしよう。
虫歯や歯周病を防いで歯の寿命を延ばすには、歯磨きとプロケア(歯科医が施す専門的なケア)だけでは不十分です。歯や歯茎にダメージを与える歯ぎしりや噛(か)みしめなどの悪癖を是正することが不可欠です。
「咀嚼(そしゃく)筋マッサージ」は噛み癖対策に絶大な効果があります。図のように咀嚼筋(咬筋(こうきん)と側頭筋)を指先で軽くマッサージします。マッサージをすると上下の歯は自然に離れます。
この時に触れる筋肉のコリ具合で自分の癖の強さもわかります。気がついた時にこまめに行うと、歯や歯茎を守るだけでなく頭痛や首、肩のコリが解消される場合もあリます。「痛気持ちよい」程度の力で1分ほどマッサージします。短い時間でこまめに行うのがコツです。
先日「咀嚼と認知症」についてある週刊誌の取材を受けました。その時、話を聞いている記者のエラ付近がピクピクと頻繁に動きます。典型的な噛みしめ癖です。咬筋の膨らみ具合からかなりの力で繰り返し噛みしめているのがわかります。歯や歯茎へのダメージがかなり大きそうです。
そのことを指摘すると、通っている歯科医で対策としてナイトガード(マウスピース)を作って使用しているとのことでした。しかし、起きている時の対策は知らないというので、咀嚼筋マッサージを伝授しました。その場でやってみて気持ちよさを感じたこともあり、続けると言っていました。【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第7回「噛み癖を直して歯の寿命を延ばす⑴ 林裕之
無意識の日々の動作が抵抗力や免疫力を弱め、虫歯菌や歯周病菌の餌食となってしまう。
歯ぎしり、噛(か)みしめなどの悪癖でダメージを受け続けた歯や歯茎は、第6回で指摘したように抵抗力も免疫力も低下します。こうして弱った歯や歯茎が虫歯菌や歯周病菌の餌食となってしまうのです。したがって、悪癖を自覚し是正することが虫歯や歯周病の予防になります。歯磨きとプロケア(歯科医で施される専門的なケア)だけでは不十分なのです。
歯ぎしりや噛みしめは、咀嚼(そしゃく)筋や顎(がく)関節にもダメージを与えます。顎(あご)の疲れや顎関節症、首や肩のコリの一因になります。ストレスの多い現代人のほとんどが歯ぎしりや噛みしめを行っているといわれています。
歯ぎしりや噛みしめは無意識の行為なので、まず自分がしているかどうかを判定する必要があります。歯ぎしりは就寝中にすることが多く、キュキュッやギリギリなど音を立てます。家族や友人などに指摘されて自覚する場合が多いですが、アプリ(Do I Snore or Grind〈いびきか歯ぎしりか〉https://app-liv.jp/3698397/)で確認することも可能です。
噛みしめは昼夜を問いません。音もなく、他人に指摘されにくく自覚している人は少数です。歯ぎしりも噛みしめも就寝中にしていると、目覚めた時に顎やこめかみあたりに疲れや痛み、だるさを感じたり、口が開けにくかったりします。
就寝中の対策はマウスピース(ナイトガード)をするのが一般的です。癖を治すというより、歯や顎へのダメージを極力少なくするための装置です。歯科医院で作ってもらえます。ただし、装着して噛んだ時に歯全体が均一に当たるように調整しない歯科医は避けましょう。また、市販のマウスピースは絶対に避けましょう。
起きている時もするのが噛みしめです。特に集中したり、緊張したり、ストレスを感じた時にしがちです。いずれにしても無意識にしてしまうので、まず「噛みしめない」と書いたメモを机やスマホ、パソコン、鏡など普段よく目にするところに貼っておき、歯の状態をチェックする癖をつけます。噛みしめていたら歯を離すことを習慣化するのです。【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第6回「現代人に多い「歯ぎしり」と「嚙みしめ」 林裕之
力学的に歯や歯茎にダメージを与え、虫歯や歯周病を誘発する。
前回までに虫歯は虫歯菌、歯周病は歯周病菌が主因であると指摘してきました。予防もそれぞれの菌が潜む歯垢(しこう)除去が不可欠となります。歯と歯茎を磨き上げて菌を遠ざけるイメージです。しかし、それとは別に虫歯や歯周病の原因に「噛(か)み癖」があります。主に「歯ぎしり」と「噛みしめ(食いしばり)」です。菌とは違って力学的に歯や歯茎にダメージを与え、虫歯や歯周病を誘発します。
上下の歯の接触は1日20分
歯の一番の役割は、食べ物を噛み砕き細かくすることです。そのため上下の歯が接している時間は長いと思われがちですが、実は1日当たり20分程度と、短いのです。食べ物を噛んだときに上下の歯が触れるのはほんの一瞬です。食べ物は上下の歯と歯の間で噛み潰します。この時には食べ物へ力を加えます。食べ物が潰れて上下の歯が接したらそれ以上の力は不要です。すぐに歯と歯を離して再度食べ物を潰すを繰り返し、細かくなったらのみ込みます。
人間が発揮する最大の咀嚼(そしゃく)力は、その人の体重に匹敵するといわれるほど強靭(きょうじん)です。以前ボクシングのヘビー級タイトルマッチでマイク・タイソン選手が対戦相手の耳を2センチほど噛み切って反則負けしたことがありました。噛む力はそれほど強いのです。仮に食べ物を噛み砕いた後も強い力で噛み続けると歯や歯を支える歯茎にダメージを与えてしまいます。咀嚼はそうならないようにうまく制御されていますが、この強い力が直接歯に加わってしまうのが「歯ぎしり」や「噛みしめ」です。
歯の表面を覆っているエナメル質は人体の中で一番硬くモース硬度は6~7。鉄(モース硬度4)より硬い組織です。歯ぎしりはこの硬いエナメル質同士をこすり合わせ互いの歯を傷つけすり減らします。エナメル質のダメージは虫歯を防ぐための再石灰化を阻害したり、歯垢が付きやすくなって虫歯の原因にもなります。時には歯にヒビが入ったり、割れたりする原因にもなります。こすり合わせることで歯を動揺させ歯を支える歯周組織にもダメージを与えます。歯ぎしりのある人は、本来とがっている犬歯が平らにすり減っていることが多いです。【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第5回「歯周病はギネス認定世界最大の感染症」林裕之
虫歯と並び歯を失う一大要因は、中高年ばかりか若年層でも増加傾向にある。その予防が重要だが、日本にはそれを阻む課題が少なくない。
歯を失う2大原因は虫歯と歯周病です。進行した虫歯は歯そのものを崩壊させて抜歯に至りますが、歯周病が進行すると歯を支える歯肉や歯槽骨の炎症で歯がグラグラになり抜歯に至ります。歯周病で抜けた歯は虫歯もなくきれいなままということもよくあります。年齢が上がるほど失う歯の本数は増えますが(65~74歳平均6本、75~84歳平均11.2本)、その原因の多くは歯周病です(厚生労働省「歯科疾患実態調査」〈2022年〉)。
歯周病は歯肉炎と歯周炎の総称です。歯肉炎は歯肉だけの炎症で、治療により歯肉は元の状態に戻ります。歯周炎は歯肉炎が進行し、歯根膜や歯槽骨に及んだ状態で治癒しても歯肉は元には戻りません。初期にはこれといった症状がない場合が多く、腫れて痛みが出たときには進行して歯周炎になっているケースがほとんどです。
若年層に急増
歯周炎を以前は歯槽膿漏(のうろう)といっていました。「歯を支える骨(歯槽骨)から膿が漏れ出る」ことなので、字面から症状が想像でき、その忌避感から予防や治療を促していいと思うのですが、ストレート過ぎて避けられたのでしょう。今は歯周炎となりました。
歯周病は唾液による感染症と考えられており、世界中に蔓延(まんえん)している最大の感染症として、01年にギネス認定されたほどです。歯周病菌はキスや食事のシェアだけでなく、飛沫(ひまつ)感染するといわれていますので、感染を防ぐ手立てはありません。となると、感染しても発症させなければいいことになります。
歯周病の大きな発症原因は、歯と歯茎の境目(歯周ポケット)に付いた歯垢(しこう)に潜んだ歯周病菌の出す毒素です。この毒素が歯肉の炎症を起こし、やがて歯周ポケットの奥深くまで侵襲します。ですので、虫歯同様に歯垢除去(プラークコントロール)が予防の基本となります。
歯周ポケットは健康な人にも存在する歯と歯茎の境目にある溝で、1~2ミリ程度なら正常の範囲内ですが、4ミリを超えると病的な状態と診断されます。【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第4回「虫歯が減っては困る歯科医 林裕之
虫歯をなくすことに主眼を置き歯科医を増やした日本と、予防を重視したスウェーデン。国家戦略の違いが残存歯数の違いとなって現れている。
前号で、永久歯の虫歯は子供では減っているが、成人以降は90%以上の人に1本以上の虫歯があり、1993年とほぼ変化がないことを報告しました。なぜ、大人の虫歯は減らないのでしょう?私が子供の頃(1950年代)、日本は虫歯大国で60年ごろには社会問題となりました。歯科医も少なく、歯科医院の前は朝から順番待ちの行列ができていたのを覚えています。そこで講じられた国家戦略は歯学部を増設し、歯科医師を増やす策でした。治療できる人を増す戦略です。
同じ頃のスウェーデンも虫歯と歯周病の多さが社会問題となっていました。スウェーデンは治療だけではなく、予防のための歯科医療改革を国家戦略としました。その一環として再び人を使って予防法の実証実験も行っています。555人の被検者をAとBの2グループに分け、Aグループにはホームケアのやり方を教えるとともに、2~3カ月に1度予防措置を施す。Bグループは年に1度の歯科治療のみ。
その結果Aグループは虫歯も歯周病も発生はわずかで、予防効果が顕著に出ました。一方Bグループには予防効果は認められなかったそうです(Bグループのモニタリングは6年間で中止、参考サイト:予防大国/歯科先進国スウェーデン、https://swedentis.com/search/jsda/)。こうした研究からスウェーデンの歯科医療改革は「ホームケア」と「予防措置」の二つを柱として推進されました。
気になるのはAグループの「ホームケア」と「予防措置」とは何かです。論文を読んでみましたが、いま一つ具体的ではありませんでした。どうやら歯に付くバイオフィルム(細菌の集合体/プラーク)を徹底的に除去したようです(プラークコントロール)。
スウェーデン式歯磨き法
ホームケアの具体的な方法は、2019年5月放送NHK『ためしてガッテン』でも紹介された「スウェーデン式歯磨き法」にヒントがありました(表、12歳以下は禁止)
①フッ素入り歯磨き粉をたっぷり使う(2センチほど)、②そのまま2分ほど磨く、③泡だけ吐き出し水で口をすすがない、④この後2時間は飲食をしない。
水ですすがずに歯磨き粉を口にとどめることで、フッ素のもつ歯の再石灰化作用を最大限得ようとするものです。ただし、この歯磨き法は12歳以下の子供は禁止としています。フッ素には一度に過剰に摂取したり、長期間にわたって大量に摂取すると、歯や骨に異常が出るなどの症状が起こることが報告されていることが考慮されたようです。
次に「予防措置」。これは定期的に歯科医や歯科衛生士などプロフェッショナルによる口腔ケア(プロケア)を受けることです。素人ではできないことをプロの技術と専用の器具や機器で、きれいにしてもらうのです。同じ時期に虫歯大国だった日本とスウェーデンですが、現在の両国民の残存歯数に差が生じています。【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第3回「甘い食べ物」と虫歯の意外な関係 林裕之
歯を守る自然のサイクルである「脱灰→中和→再石灰化」が問題なく行われていれば、虫歯発生のリスクは小さくなると考えられている。
甘い食べ物は虫歯を作ると、いわれています。これは、スウェーデンで行われた人体実験「ビペホルム実験」の結果に基づいています。ビペホルム実験は、スウェーデンのルンドにある知的障害者のためのビペホルム病院で行われました。患者の虫歯を誘発させるために大量の菓子を与えた一連の人体実験です。1945~55年まで行われました。
その方法は、砂糖入りのお菓子を食事の時間内だけに与えたグループと、間食に与えたグループに分け、両者の虫歯の発生率を調べたのです。その結果、食事の時間内だけに食べたグループにあまり虫歯は増えませんでした。一方、同じ量のお菓子を間食に食べたグループは、虫歯が急激に増えました。この実験結果は、糖の摂取の仕方と虫歯発生の相関関係を実証した貴重なデータをもたらしました。
病気の原因究明に人体実験ほど有効な手立てはないとはいえ、私が生まれる前年の55年まで行われていたのは驚きです。現在では福祉国家のイメージが大きいスウェーデンも、かつては人権意識が低かったことが分かります。被験者に発生した虫歯の治療はしたと思いますが、当時の治療技術や虫歯の苦痛を思うと本当にお気の毒です。【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第2回 噛み合わせと全身は調和している 林裕之
歯だけを対象にした修理修復が主で、「歯を見て全身を見ない治療」になってしまっていることに警鐘を鳴らす。
1990年代に100歳を超えて明るいキャラクターで人気者になった双子の姉妹「きんさん、ぎんさん」の姉のきんさんは全ての歯がありませんでした。しかし、好物だという赤みのマグロをおいしそうに食べていたそうです。
まれなケースかもしれませんが、このように歯がなくなっても歯ぐきで噛むこともできるのです。口腔(こうくう)内の状況に合わせて噛み合わせは変化します。激痛があるなどよほどの場合を除いて人間は、噛めるところで噛むようにできているのです。
私たちは歯のない状態で生まれ、母乳に吸い付き、一生懸命顎(あご)(咀嚼(そしゃく)筋)を動かして乳を飲みます。生後7~8カ月ごろに乳歯の前歯が顔を出し始めますが、乳歯が生えそろう2歳ごろまでは乳歯での咀嚼は安定しません。
しかし、乳児期は授乳以外の時におもちゃなどいろいろなものを口に入れて噛むこと(咀嚼)を学習していきます。2歳ごろになると上下で10本ずつ計20本の乳歯が生えそろい、軟らかいものなら大人と同じものが食べられるようになります。
出生時に50センチだった身長も90センチに、体重は3キログラムから13キログラムへと急成長します(いずれも平均値)。全身の骨格や筋肉が大きくなるように顎の骨や咀嚼筋も発達し、噛む力も徐々に強くなり5歳ごろには、大人と同じものが食べられるようになります。【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話
第1回 関わりが深い歯科技工士 林裕之
歯科医の裏方が実務の合間に体と歯を学び直し、「本物の歯科技工士」となる前後を含めた体験を赤裸々につづる。
私は今年68歳になります。これまでに上下で7本の歯を失いました。幸い歯科技工士なので自分で作った入れ歯で快適に噛(か)むことができます。いわゆる歯の弱いタイプですので、虫歯や歯周病の痛み、不安、噛めないときの不自由さなど患者さんの気持ちが痛いほど分かる歯科技工士です。
歯を失う2大原因は虫歯と歯周病ですが、日本人の喪失歯数はどの年齢層も減少傾向にあります(図)。とはいえ、0本になったわけではありませんし、高齢になるほど失う歯の本数が増える傾向に変わりはありません。また、虫歯や歯周病のなりやすさなど個人差が大きいのも歯科疾患の特徴です。若くても喪失歯が多い人もまれではありません。
歯科治療の大きな特徴は金属や樹脂などを用いて物理的に歯を修復することです。虫歯を削り取った箇所は詰め物(インレー)やかぶせ物(クラウン)で元の歯の形に修復しますし、歯周病などで抜けた箇所はブリッジ(かぶせ物の一種)や入れ歯などの人工の歯で補います。いずれにしても、きちんと噛めるように機能回復させることが歯科治療の最終目的です。
生命活動の基本は食べることです。十分なエネルギーと栄養を摂取し続けなければ死んでしまいます。そのために不可欠なのが、上下左右でバランスよく噛める28本の歯(親知らずがある場合29〜32本)です。たとえ虫歯や歯周病になってもきちんと修復し噛む機能を回復することが生命維持の第一歩であり、健康の源となります。【続きを「週間エコノミストOnline」で読む】
診療案内 – 林歯科
「お口の健康がすべての健康の源です」お口が健康な方は、免疫力アップ、認知症になりにくいなど、さまざまな面で全身の健康度が増し、健康寿命が延びることが解って来ています。
だからこそ、
私たちは「口を健康にする歯科医療」を追求し実践しています。
● 診療案内 | 林歯科
林歯科[一般歯科]、[歯科矯正]
〒 102-0093 千代田区平河町1-5-4 平河町154ビル3F
● 完全予約制(電話のみ)Tel:03-6261-3988
診療科目
● 噛み合わせと全身を考慮した歯科治療全般 / 心身の成長を妨げない取り外し式装置による子供の歯列矯正
診察日・時間
● 月~土曜日 午前9:30 ~ 午後7:00
休診日
● 日曜・祭日と隔週で水曜日もしくは木曜日
取扱保険
● 自由診療(保険は取り扱っておりません)