根本的な欠陥持つインプラント


この記事も12年前のものです。タイトルのインプラント(人工歯根)の根本的な欠陥は今も解消されていません。近頃は『インプラント治療をしないという判断力』 https://goo.gl/oyf7O が求められるようになっているのが実情です。それを前提に12年前の記事をお読み下さい。

最近、インプラント(人工歯根)と呼ばれる治療法が注目を集めていま す。

インプラント治療とは、歯が無くなった部分に手術をして、セラミックやチタンなどで作られた人工の歯根を顎の骨に直に埋め込むことです。そして埋め込んだインプラントが安定した後に、人工の歯を被せ、かみ合わせを回復する方法です。

特定の医療機関以外では、自費診療のためか、第3の歯とか夢の治療など と喧伝されてもいます。しかし、インプラントには根本的な欠陥が二つあります。

天然の歯の根の部分は、歯根膜という繊維によって顎の骨に連結しています。この歯根膜にはクッションの役目もあり、歯と歯がかみ合った時の衝撃を吸収し 和らげています。

自分の歯を指で押してみると、少し歯が動くことが実感できると思いますが、インプラントは、顎の骨に直接埋め込みますので、クッションとなる歯根膜がありません。ですから、物を噛んだときの力が直に顎の骨に伝わってしまいます。

こうした欠陥は、次のような場合に顕著に現れます。インプラントは単体で使われることはあまりなく、多くの場合ブリッジの土台として使われます。その時、近くの天然歯を一回り小さく削って、もう一方の土台とし、その両方の土台を人工歯(ブリッジ)でつなぎ合わせて、無くなった歯の部分を補うのです。

こうしたブリッジは歯根膜のクッションがある土台と、そうでない土台に支えられていますので、物を噛む度に、一方の土台は少し沈み、もう一方は全く動かないという不自然な働きを強いられます。

もう一つの欠陥は、インプラントを生理学的に考えると、私達の身体にとっては異物でしかないということです。

いくら生体に為害作用の極めて少ない材料を使っても100%身体に馴染むことはないのです。インプラントの上半分は口の中に出ていますので、ある生理学者はインプラントを「骨に刺さったとげ」と表現しています。

その結果、歯茎や顎の骨を傷めてしまうことになり易く、安定して使っている患者さんも多くいますが、こうしたトラブルも少なくありません。このリスクがある限り、私は自分の診療に取り入れようとは思っていません。

歯が無くなった部分を補う治療は、自分で取り外しの出来る「入れ歯」でほとんどのケースに対応可能です。入れ歯に対して年寄り臭いといった誤解を持っている人が多いようですが、私自身、一本義歯を不自由無く使っています。

歯を守るために ー必要以上に歯を削らない抜かないー

これは12年前の新聞連載です。

当時と比べると、虫歯治療は必要以上に歯を削らない傾向になっていると思いますが、歯を守るための方法は相変わらず歯磨き一辺倒で、噛み癖の是正や正しい噛み方の指導をする歯科医は一向に増えていません。

歯磨きメーカーもテレビCMなどで、歯磨きの効能と一緒に「噛み癖を治しましょう」と繰り返しアピールしたほうがよっぽど「歯を守る事」になるのですが、本当に歯が守られてしまうと商売にならないのでまずいのかもしれません。

歯を守るために

歯を守るには、虫歯や歯周病を予防することが大切で、それには、ブラッシングを適切に行うことが一番の方法である。と信じられています。しかし、これは噛むための道具である歯の手入れ法であり、これだけでは不十分です。

どんな道具でも上手に使ってこそ長持ちするのです。そこで、

1.噛み癖(右や左ばかりで噛む)を直し、左右の歯でバランスよく噛む。(https://goo.gl/1p2vS 参照)
2.食事以外の時に歯を噛みしめたり、歯ぎしりをしない(乳歯の時の歯ぎしりは除く)(https://goo.gl/Lmmrf参照)この2点をしっかりと覚え、実行して下さい。

こうしたことは、日常の生活で自分自身で出来ることですが、歯の治療の仕方でも歯の寿命は大きく違ってきます。歯の治療は『必要以上に削らない、抜かない』ことと、複数の歯を一度に治療をしないことが大前提です。虫歯や歯周病以外に人工的に歯を侵襲することは極力避けなければいけません。一度削ったり抜いたりした歯は、二度と元にはもどりません。

小さな虫歯治療でも削る範囲は必要最小限にしなければいけません。特に、抜けた歯の部分を回復するために、健康な両隣の歯を一回り小さく削って、複数の歯を連結して被せるブリッジは要注意です。

例えば3本ブリッジの場 合、健康な歯を削ることも問題ですが、新たに3本分のかみ合わせを回復しなければならなくなります。人工の歯で元のかみ合わせを正確に再現することは困難で、全体のかみ合わせバランスを狂わせる原因にもなりやすく、結果として歯の寿命を縮めかねません。

こうした場合は両隣の歯を削らずに抜けた部分だけを回復する『入れ歯(1本義歯)』や、『接着ブリッジ』を選択し、歯科医にはっきり伝えましょう。また、歯はいずれは減っていくものですので、使う素材も保険や自費に拘わらず、天然歯に近い硬さの物を選んでください。

かみ合わせの変化は全身にも影響しますので、歯科治療でかみ合わせが狂っるてしまうことを避けるには、治療を受ける際の体勢に注意が必要です。小さな詰 め物から総入れ歯に至るまで、かみ合わせのチェックは、立った姿勢か、椅子に腰掛けた姿勢で受けてください。治療台に寝たままの姿勢だと下顎がさがってしまい、本来の顎の位置とは違います。かみ合わせのチェックは食事をする時と同じ姿勢で受けて下さい。また、こうしたことを実践している歯科医を見つけることも歯と身体の健康を守る秘訣とも言えます。

EテレのサイエンスZERO ”よく解る「iPS細胞」”


夕べのNHK EテレのサイエンスZEROで「iPS細胞」を山中伸弥教授のインタビューを交えて詳しく解説していました。

現象として古くから発見されていた「細胞の初期化」を多くの科学者達の膨大な実験とその失敗の繰り返しの中から、大きな壁を乗り越えるアイデアや新しい方法が生まれ、それらの連携が「万能細胞」→「ES細胞」→「iPS細胞」と解明されていく様は感動的です。

インタビューに答える山中伸弥教授の真摯で謙虚なお人柄も本当に素晴らしい人だなあと改めて尊敬の念が湧いてきました。

歯科分野ももちろんですが、様々な病気で苦しむ人のためにも一刻も早い臨床応用が望まれます。

再放送は↓です。見逃したかたは是非!

2012年10月20日(土)
[Eテレ]
昼0:30~1:00

整形大国・韓国のアゴ整形


整形大国・韓国のアゴ整形に深刻な後遺症多発!

”整形大国と言われる韓国では、女性の両顎(上顎と下顎)手術が美容整形として人気上昇し、年間5000人程が手術を受けており、患者の増加と共に下顎の麻痺などの後遺症が増えていると、朝鮮日報が報じている。”
とのニュース。

韓国程ではないものの、日本にも美容外科後遺症外来が日本医科大学にあることが実情を物語っています。
https://www.myclinic.ne.jp/nms_prs/pc/free2.html#3

まず、機能障害と見た目のコンプレックスを一緒にしてはいけません。口の機能障害といえば噛めない(咀嚼出来ない)ことに他なりません。食べられなければ死に直結する事態ですから、もし本当に顎の骨を削って機能の改善、回復ができるのであれば外科処置も必要かもしれません。

しかし、見た目のコンプレックス解消のために顎の骨を削るのはリスクが大きすぎます。術前のコンプレックスを上回る後遺症に苦しんだのでは本末転倒です。このブログや著書で何度も訴えてきましたが、成人矯正(特に抜歯をした矯正)をして、術前より噛めなくなったり、身体の不調で苦しむ多くの患者さんを診てきた者として、この記事にあるような”アゴ整形の深刻な後遺症”で苦しむ人の悲劇が容易に想像出来るのです。

”両顎手術は上顎・下顎の一部を切り、顎の位置を整える手術だ。手術後に顔がほっそりするため美容目的で手術を受ける女性が、近年大幅に増えているという。”手術が増えれば後遺症も増える。怖い現実。

最近は、この記事のように美容整形の後遺症も取り上げられるようになって来ましたが、まだまだ氷山の一角だと思います。深刻な後遺症に苦しみ”アゴ整形”をしたことを後悔しない唯一の方法は骨を削らないことです。

美容整形のリスクが誰の身にも起きる事を忘れてはいけません。削った骨は元に戻せません。

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親知らず安易に抜歯は疑問

2度のクリックで原文がお読みになれます。


もう30年近く前の話ですが、勤めていた歯科医院には、毎月の親知らずの抜歯数の目標数値があり、1本抜歯するたびに小さなホワイトボードに”正”の字を記入していました。埋伏など難しい抜歯は大学から口腔外科の歯科医に来てもらって、「外科の日」を設けていました。なぜこうしていたかというと、保険点数が高く収入を増やしやすいのと、親知らずは邪魔なだけと安易に思い込んでいたからです。

最近では、将来の再生医療に使うために、抜歯した自分の親知らずを冷凍保存するなど新しい価値も出て来ましたが、まだまだ安易に扱われる傾向があります。

総合的な判断の上で慎重に対処しないと、思わぬ事態に陥ってしまうこともあります。

親知らず安易に抜歯は疑問

親知らずは十代後半から三十才くらいにかけて、上下の歯列の一番奥に生えてくる第三大臼歯の俗称です。文字どうり親も気付かない年頃に生え始めます。

また、 智恵や知識を身につけた年齢でもあることから智歯とも呼ばれています。その上下四本の親知らずが生え揃い、きっちりかみ合っていれば特別問題はないのですが、現代の日本人ではこうした人はたいへん少なく、親知らずそのものが無い人も珍しくありません。

こうした傾向は世代が下がるにつれて多いようで、顎が小 さくなっていることと併せて、退化傾向にあるといわれています。

また、親知らずが1~4本あったとしても、歯肉のなかに埋もれたままだったり、真横になっ
ていたり、歯の一部だけが歯肉から出ているなど、親知らずの本数とその状態はまさに百人百様で、そのまま何事もなく過ぎることもありますし、親知らずの周りの歯肉が炎症を起こしたり、虫歯になってしまうこともあります。

また、生えて来る場所が顎の一番奥の狭い所なので、かみ合わせバランスに影響を与えやす い歯でもあり、親知らずが原因で頭痛や首、肩のこりを起こすこともあります。

親知らずは他の28本の歯の歯根が完成された後、つまり、ある程度かみ合わせが完成された頃に生え始めますので、どうしても邪魔者扱いされがちで、歯肉の炎症や進行した虫歯でない場合でも抜歯の対象にされがちです。

実際、明確な根拠がないまま一律に親知らずは抜くべき歯と考えている歯科医や患者さんも多 いようです。

しかし、口のなかにある以上、全体のかみ合わせバランスに、良くも悪くも影響を与えている場合もままあり、そうした診断なしで抜いてしまうと、急激なかみ合わせの変化を誘発して、身体に悪影響を及ぼすこともありますので、安易に抜歯することには問題があると思います。(しかし、すでに親知らずを抜いた経験がある人でも、その後の体調に変化がなければ特に心配する必要はありません)

また、親知らずは、手前の歯が抜けた時に、入れ歯の支えに使 える場合もあり、功罪の判断の付けにくい歯であると言えます。

いずれにしても、上下の親知らずがきっちりとかみ合っている人が少ない現在では、親知らずの治療に関しては、まさにケースバイケースですが、抜歯をする場合は、かみ合わせバランスや歯全体の将来予測といった総合的な診断とその説明が必要条件となります。

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