スキスキの歯

乳歯が永久歯に生えかわるときは神秘的でかつ合理的なことが起こりますが、私はつくづく人間の体はよくできているなあと感嘆しています。

生えかわりのしくみは乳歯の根っこ、が溶けて、体の中に吸収されてしまうことです。専門的には歯根吸収といいますが、乳歯の根っとが溶けてなくなり、口の中に出ていた部分が自然にポロッと抜けてしまうのです。

そして、しばらくたっと、乳歯が抜けた位置に永久歯が生えてきます。生えかわりの時期の歯と歯茎の状態を見ると、乳歯、か永久歯を抱えているような形をしています。

乳歯も隙聞なく並ぶのいかいい歯並びと思う人が多いのですが、隙聞があるほうがいいのです。乳歯は20本で、生えかわる永久歯は28〜32本あります。

顎という同じスペースにおさまるととを考えれば、乳歯の時期はスキスキの歯のほうがむしろいいのです。

いい哺乳瓶の見わけ方

赤ちゃんには母乳はベストの飲み物です、が、どうしても人工ミルクを飲まなければならなくなるときもあります。そこで気配りをしたいのが哺乳瓶です。

出がいいのがいい哺乳瓶と思いがちですが、実は出が悪いほうがいい哺乳瓶なのです。

哺乳瓶はもともと非常に出がいい作りになっているため、赤ちゃんが口にくわえて噛んで吸うという努力をしなくてすむのですが、赤ちゃんにとって欠かせない基礎的なトレーニングができません。

その結果、顎が十分に鍛えうれす発達しないことになります。顎が発達しなければ歯もきちんと生えないので、よい噛み合わせバランスもできません。

晴乳瓶、か抱える問題にいちはやく気づいたドイツでは政府の肝いりで、赤ちゃんが母乳を吸うときと同じように顎と舌を使わなければ出てこない、吸い口を工夫した哺乳瓶(「NUK」=ヌーク)を普及させています。

お乳を食べる

赤ちゃんがお乳を飲むといいますが、光景を見ていると、お乳を食べるというのが正しい言い方であることがわかります。

赤ちゃんはお乳をくわえると、舌と上の歯茎の聞に乳首をはさみ、噛みながらお乳を吸って飲み込みます。歯はまだありませんが噛む運動をしきりに行っているのです。

最初の頃は母乳も出が悪いのですが、赤ちゃんに噛みながら吸われることでよく出るようになります。途中でお乳の出が悪くなったときも噛みながら吸われると、また出がよくなってきます。

赤ちゃんはお乳を食べるために舌や頬、顎の筋ずがい肉を動かすことで、それに関係する筋肉が自然に発達し、頭蓋や顎の骨の発育が+よくなり、歯並びもしっかりしたものとなるのです。また、唇や舌、頬の筋肉から送られるさまざまな情報が脳の発達を促します。

赤ちゃんがお乳を食べることは栄養を補給するだけにとどまらない効用をもたらすのです。

乳歯も永久歯も母親の体内で作られる

歯は成長してから作られると思われがちですが、乳歯や永久歯(の一部)のもとになる「歯の芽 ( 歯胚)」は母親の胎内にいるときに作られます。

赤ちゃんは 生まれ時すでに乳歯と永久歯の芽を持っているというわけです 。 乳歯の芽は妊娠12~16週(3~4ヵ月 ) に完成しますし、一部の永久歯、たとえば犬歯の芽は妊娠30週 (7 ヵ月半 ) には完成しています 。

ということは、乳歯や永久歯が健康なものになるかどうかの力ギは、お母さんの健康や栄養の状態が握ることになります。妊娠中の食べ方が生まれてくる子どもの生涯にわたる歯の健康を左右するのですから責任重大です。

でも 、多くの場合、乳歯 が 生えだした頃や、乳歯が永久歯 に生えかわる時期になって子どもの歯のことを心配しだします。

治療などで打つ手はあるものの本当はそれでは遅い、というわけです 。ただし、歯を丈夫にするための特別な食べ物があるわけではなく、バランスの良い食事を心がければ良いのです。

日本人のカルシウム補給に牛乳は不要

歯を強くするカルシウムの補給に牛乳がいちばんと私たちは思ってきましたが、実は日本人にとっては大間違いの話なのです。

牛乳に含まれる乳糖を消化する酵素(ラクターゼ)が母乳を飲む時期を過ぎるとなくなる人が日本人では多数派です。

そのせいで牛乳を飲むと下痢や腹痛を起こすことが多いのです。世界的にみると、大人になってもラクターゼ、を持っている人は約2割でそのほとんどが白人です。

そこで日本人の歯と歯茎(歯槽骨)を強くするのに最適な食べ物は、カルシウムが多く含まれている小魚、ワカメなどの海藻類、大豆製品(豆腐、納豆、日未噌など)、小松菜や大根の葉などの緑黄野菜がおすすめです。

このような食べ物を見ても和食が歯と歯茎(歯槽骨)の健康在約束することがわかります。日本人が昔から食べてきたものをよく噛んで食べるととがカルシウムの補給と噛むシステムを強くするいちばんの近道なのです。