「合わない入れ歯」が量産されるわけ

私は歯科医療の本質は、歯を寿命どおりに使っていけるようにすること、歯の寿命が尽きて歯が抜けたあと、できるだけ違和感なくスムズに入れ歯などで補っていくことで、その人の人生で口と歯にまつわるととについて大きな苦労をしたと自覚することなく総入れ歯までのお手伝いをすることだと考えています。

悪い歯医者の例となります、が、入れ歯作りに真剣に取り組まない歯医者や歯科技工士、か多いのは嘆かわしいことです。

総入れ歯の場合は歯科大学や歯科技工士学校で教える方法が間違っているため、「合わない入れ歯」が量産され続けています。

たとえば歯が抜けたとき、歯茎は外側からやせてきます、が、そのことを考慮に入れないで、やせた中央の部分(歯槽骨の頂点)に歯を並べる形で総入れ歯を作る方法が採用されているからです。

その結果、その人の本来の歯並びよりひと回り小さな入れ歯ができあがることになり、うまく口におさまりません。

食べるときに入れ歯を外す人

意外なのですが、食事のとき入れ歯を外さないと食べづらいという人がいます。これでは食事のときに歯なしで食べるようなものです。

噛むことが生きるもとといわれながら、噛むことに欠かせない歯をはずさなければならないのですから大問題です。

食べるときに入れ歯を外す人が多いのは「使えない入れ歯」が世の中にあふれている証拠といえるでしょう。

また、寝るときに入れ歯を外すという人も多いのですが、自分の体の一部を外して寝るのも変な話です。

このような変な話が老人ホームなどでは当たり前の光景になっていることで、合わない入れ歯に悩む人がいかに多いかがわかります。合わない入れ歯は噛み合わせバランスを狂わせ、体のいろいろな不調を招きます。

1本の歯が合わないだけでも大変なのですから、入れ歯が合わないと体はもちろん、心にも深刻な影響をおよぼすのです。

誤解と偏見

人によって早いか遅いかの遣いはあっても歯が失われていくのは自然の流れなのですから、入れ歯になっても自分を責める必要はまったくありません。

失った歯は入れ歯で補えば噛み合わせバランスを維持することができます。

入れ歯を嫌う人は、いろいろと欠点をあげますが、誤解と偏見によるものばかりです。食べ物の昧、かし芯くなる、くぐもった声になるというのも、「たぶんそうなるに違いない」という誤解にもとづくものです。

多くの場合、入れ歯という人工のものに慣れるまでの一時的な現象で、慣れてしまえば消えるものです。

入れ歯は年寄りくさくて嫌いという人もいますが、歯を失ったことを軽く考えてはいけないのです。噛むととは私たちが健康を維持することと密接な関係があります。

いい歯医者なら、「入れ歯でよく噛めることができる大切さに目覚め、入れ歯を受け入れて使いこなせるようになりましょう」とおすすめします。

入れ歯とは

歯にも寿命があり、年をとると歯周病で歯が失われることを紹介しました。

失われた歯の代わりをするのが入れ歯(義歯)です。入れ歯とは取り外しがきくものをさします。つまり自分で取り外しができる歯です。

入れ歯には「部分入れ歯」と「総入れ歯」があります。1本でも歯が残っている状態に入れる場合が部分入れ歯で、1本も歯が残っていないところに入れるのが総入れ歯です。

ブリッジよりも1本入れ歯がいいことを紹介しましたが、1本入れ歯も部分入れ歯です。またよと下の歯が同本ずつの場合、部分入れ歯は1本入れ歯から13本入れ歯までできる勘定になります。

ところで、一般的に差し歯と呼ばれているものは、歯の根っこの神経をとってその穴をきれいにしたあとで芯棒を立て、人工の歯をかぶせる方法です。この場合は取り外しができませんので入れ歯ではないのです。

総入れ歯の理想

作り直した総入れ歯がうまく使えるものだったとしても、それがその患者さんにとって最適な入れ歯なのかどうか、正直に言えば、私たちにはわかりません。

何度もくり返し検証していきますから「最適なものだと思います」とは言えます。しかし、「絶対にそうか」と聞かれたら、「わかりません」と答えざるをえない。

無責任だと思う人もいるもしれませんが、手がかりのない状態で総入れ歯を作るのは、それほどむずかしいことです。だからこそ、早い時期から「継ぎ足していく方法」を採ってほしいのです。

私たち兄弟は平均より歯が弱いタイプで、二人ともすでに小さな入れ歯を使っています。あと何年かすれば、かなり大きな入れ歯を使うことになると思います。総入れ歯になる年齢も人より早いでしょう。

継ぎ足していく入れ歯のゴールは、私達の総入れ歯の理想でもあるのです。