歯を守るために ー必要以上に歯を削らない抜かないー

これは12年前の新聞連載です。

当時と比べると、虫歯治療は必要以上に歯を削らない傾向になっていると思いますが、歯を守るための方法は相変わらず歯磨き一辺倒で、噛み癖の是正や正しい噛み方の指導をする歯科医は一向に増えていません。

歯磨きメーカーもテレビCMなどで、歯磨きの効能と一緒に「噛み癖を治しましょう」と繰り返しアピールしたほうがよっぽど「歯を守る事」になるのですが、本当に歯が守られてしまうと商売にならないのでまずいのかもしれません。

歯を守るために

歯を守るには、虫歯や歯周病を予防することが大切で、それには、ブラッシングを適切に行うことが一番の方法である。と信じられています。しかし、これは噛むための道具である歯の手入れ法であり、これだけでは不十分です。

どんな道具でも上手に使ってこそ長持ちするのです。そこで、

1.噛み癖(右や左ばかりで噛む)を直し、左右の歯でバランスよく噛む。(https://goo.gl/1p2vS 参照)
2.食事以外の時に歯を噛みしめたり、歯ぎしりをしない(乳歯の時の歯ぎしりは除く)(https://goo.gl/Lmmrf参照)この2点をしっかりと覚え、実行して下さい。

こうしたことは、日常の生活で自分自身で出来ることですが、歯の治療の仕方でも歯の寿命は大きく違ってきます。歯の治療は『必要以上に削らない、抜かない』ことと、複数の歯を一度に治療をしないことが大前提です。虫歯や歯周病以外に人工的に歯を侵襲することは極力避けなければいけません。一度削ったり抜いたりした歯は、二度と元にはもどりません。

小さな虫歯治療でも削る範囲は必要最小限にしなければいけません。特に、抜けた歯の部分を回復するために、健康な両隣の歯を一回り小さく削って、複数の歯を連結して被せるブリッジは要注意です。

例えば3本ブリッジの場 合、健康な歯を削ることも問題ですが、新たに3本分のかみ合わせを回復しなければならなくなります。人工の歯で元のかみ合わせを正確に再現することは困難で、全体のかみ合わせバランスを狂わせる原因にもなりやすく、結果として歯の寿命を縮めかねません。

こうした場合は両隣の歯を削らずに抜けた部分だけを回復する『入れ歯(1本義歯)』や、『接着ブリッジ』を選択し、歯科医にはっきり伝えましょう。また、歯はいずれは減っていくものですので、使う素材も保険や自費に拘わらず、天然歯に近い硬さの物を選んでください。

かみ合わせの変化は全身にも影響しますので、歯科治療でかみ合わせが狂っるてしまうことを避けるには、治療を受ける際の体勢に注意が必要です。小さな詰 め物から総入れ歯に至るまで、かみ合わせのチェックは、立った姿勢か、椅子に腰掛けた姿勢で受けてください。治療台に寝たままの姿勢だと下顎がさがってしまい、本来の顎の位置とは違います。かみ合わせのチェックは食事をする時と同じ姿勢で受けて下さい。また、こうしたことを実践している歯科医を見つけることも歯と身体の健康を守る秘訣とも言えます。

整形大国・韓国のアゴ整形


整形大国・韓国のアゴ整形に深刻な後遺症多発!

”整形大国と言われる韓国では、女性の両顎(上顎と下顎)手術が美容整形として人気上昇し、年間5000人程が手術を受けており、患者の増加と共に下顎の麻痺などの後遺症が増えていると、朝鮮日報が報じている。”
とのニュース。

韓国程ではないものの、日本にも美容外科後遺症外来が日本医科大学にあることが実情を物語っています。
https://www.myclinic.ne.jp/nms_prs/pc/free2.html#3

まず、機能障害と見た目のコンプレックスを一緒にしてはいけません。口の機能障害といえば噛めない(咀嚼出来ない)ことに他なりません。食べられなければ死に直結する事態ですから、もし本当に顎の骨を削って機能の改善、回復ができるのであれば外科処置も必要かもしれません。

しかし、見た目のコンプレックス解消のために顎の骨を削るのはリスクが大きすぎます。術前のコンプレックスを上回る後遺症に苦しんだのでは本末転倒です。このブログや著書で何度も訴えてきましたが、成人矯正(特に抜歯をした矯正)をして、術前より噛めなくなったり、身体の不調で苦しむ多くの患者さんを診てきた者として、この記事にあるような”アゴ整形の深刻な後遺症”で苦しむ人の悲劇が容易に想像出来るのです。

”両顎手術は上顎・下顎の一部を切り、顎の位置を整える手術だ。手術後に顔がほっそりするため美容目的で手術を受ける女性が、近年大幅に増えているという。”手術が増えれば後遺症も増える。怖い現実。

最近は、この記事のように美容整形の後遺症も取り上げられるようになって来ましたが、まだまだ氷山の一角だと思います。深刻な後遺症に苦しみ”アゴ整形”をしたことを後悔しない唯一の方法は骨を削らないことです。

美容整形のリスクが誰の身にも起きる事を忘れてはいけません。削った骨は元に戻せません。

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親知らず安易に抜歯は疑問

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もう30年近く前の話ですが、勤めていた歯科医院には、毎月の親知らずの抜歯数の目標数値があり、1本抜歯するたびに小さなホワイトボードに”正”の字を記入していました。埋伏など難しい抜歯は大学から口腔外科の歯科医に来てもらって、「外科の日」を設けていました。なぜこうしていたかというと、保険点数が高く収入を増やしやすいのと、親知らずは邪魔なだけと安易に思い込んでいたからです。

最近では、将来の再生医療に使うために、抜歯した自分の親知らずを冷凍保存するなど新しい価値も出て来ましたが、まだまだ安易に扱われる傾向があります。

総合的な判断の上で慎重に対処しないと、思わぬ事態に陥ってしまうこともあります。

親知らず安易に抜歯は疑問

親知らずは十代後半から三十才くらいにかけて、上下の歯列の一番奥に生えてくる第三大臼歯の俗称です。文字どうり親も気付かない年頃に生え始めます。

また、 智恵や知識を身につけた年齢でもあることから智歯とも呼ばれています。その上下四本の親知らずが生え揃い、きっちりかみ合っていれば特別問題はないのですが、現代の日本人ではこうした人はたいへん少なく、親知らずそのものが無い人も珍しくありません。

こうした傾向は世代が下がるにつれて多いようで、顎が小 さくなっていることと併せて、退化傾向にあるといわれています。

また、親知らずが1~4本あったとしても、歯肉のなかに埋もれたままだったり、真横になっ
ていたり、歯の一部だけが歯肉から出ているなど、親知らずの本数とその状態はまさに百人百様で、そのまま何事もなく過ぎることもありますし、親知らずの周りの歯肉が炎症を起こしたり、虫歯になってしまうこともあります。

また、生えて来る場所が顎の一番奥の狭い所なので、かみ合わせバランスに影響を与えやす い歯でもあり、親知らずが原因で頭痛や首、肩のこりを起こすこともあります。

親知らずは他の28本の歯の歯根が完成された後、つまり、ある程度かみ合わせが完成された頃に生え始めますので、どうしても邪魔者扱いされがちで、歯肉の炎症や進行した虫歯でない場合でも抜歯の対象にされがちです。

実際、明確な根拠がないまま一律に親知らずは抜くべき歯と考えている歯科医や患者さんも多 いようです。

しかし、口のなかにある以上、全体のかみ合わせバランスに、良くも悪くも影響を与えている場合もままあり、そうした診断なしで抜いてしまうと、急激なかみ合わせの変化を誘発して、身体に悪影響を及ぼすこともありますので、安易に抜歯することには問題があると思います。(しかし、すでに親知らずを抜いた経験がある人でも、その後の体調に変化がなければ特に心配する必要はありません)

また、親知らずは、手前の歯が抜けた時に、入れ歯の支えに使 える場合もあり、功罪の判断の付けにくい歯であると言えます。

いずれにしても、上下の親知らずがきっちりとかみ合っている人が少ない現在では、親知らずの治療に関しては、まさにケースバイケースですが、抜歯をする場合は、かみ合わせバランスや歯全体の将来予測といった総合的な診断とその説明が必要条件となります。

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乳歯から永久歯へ交換期の注意

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写真の新聞では記事の見出しが”顎の成長欠かせぬ永久歯”となっていますが、乳歯から永久歯へと変わる際の注意や、よく噛む習慣の付け方など記してあります。

また、記事とは別ですが同年齢(小学1~2年生くらい)のレントゲン写真のアップも載せます。乳歯の下にはすでに永久歯が出来ていて乳歯との交換を待っています。

永久歯をよく見て下さい、根の部分は未完成です。生える場所を見つけて文字通り根付くのです。正しい場所に根付かせることが良い噛み合わせに繋がります。生え変わりの時期がとても大切なのです。

乳歯から永久歯へ交換期の注意

小学生の6年間は、乳歯から永久歯へと生え替る時期と重なります。

永久歯は乳歯よりも大きいので顎の成長に沿って一本一本時間をかけて、ゆっくり交換します。しかし、この時期に顎が充分発育しないと、永久歯が重なって生えたり、横へ飛び出して生えてきたりします。最近は、顎の未発達が原因と思われる歯並びの悪い子供達(若者も)が増えています。

顎の充分な成長発育にはよく噛むことが必要不可欠ですが、子供達の好きなカレー、ハンバーガー、スパゲッティ、寿司等、最近の食事は柔らかい物が多く、我々大人も含めて噛む回数は減る一方です。また、小顔がブームになるなど、歯並びや噛み合わせのことを考えると先が思いやられます。

もはやこうした状況を 変えるには、保育園、幼稚園、小中学校の科目に一日十分程度、硬めのガムやするめ等を噛む『顎の時間』を設けたら良いと思いますが、なかなかそうはいきません。

そこで、家庭での食事の工夫として、具は大きいまま出す、歯応えのあるものを一品加える、水やジュースは食後にする、食パンの耳は取らない(できればフランスパン)、食事を急かさない、おやつは硬めのガムにする(ノンシュガーの物)等、自然に噛む回数が増えるようにしてあげてください。(こうした工夫を実行した幼稚園で、知能指数がアップしたという報告もあります)

このような食事を心がけても、すでに歯並びの乱れが気になる場合は、やはり、専門医に相談してください。その際の注意として、見ためを整えることだけの矯正はしないことです。

特に、抜歯をしての矯正は口の中をより狭くしてしまいますので決してしないことです。(最近は非抜歯矯正も増えてはいます。)子供の矯正は、心身共に成長発育の途上にするのですから、顎の成長を促し、よりよい噛み合わせを獲得させるのが目的でなければいけません。

それには、取り外し 式の装置が優れており、固定式の装置はあまりおすすめできません。さらに、歯の移動中でも、上下の歯の噛み合わせが矯正装置によって、確保されていることも重要なポイントです。どの矯正医も初回は相談だけで、いきなり治療を始めることはありませんので、じっくり相談し、慎重に検討してください。

↓ 矯正法の詳しい情報はこちらです。

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粗末に扱うと後が大変な乳歯

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主に乳歯で咀嚼する6歳くらいまでは、心身の成長度合いもダイナミックな時期です。後続の永久歯は乳歯の下ですでに埋まっていますので、よく噛む刺激も伝わっています。

よく噛むことは日頃意識して行う事で、身につけるものです。虫歯予防と同等に大切なことです。虫歯治療も後続の永久歯のことまでを考えた治療をしなければなりません。

粗末に扱うと後が大変な乳歯

乳歯はいずれ永久歯に生え変わるからと,粗末に扱われがちですが、乳歯の状態がその後の永久歯に引き継がれる事が多いので、大切にしなければなりません。

特にその後に生えてくる永久歯の歯並びを決定する,と言っても過言ではありません。どの子も乳歯の生えてくる場所は遺伝子で決定されていますので、乳歯そのものが、乱れて生えてくることはまずありません。

乳歯の歯並びを乱す主な原因は、乳歯の虫歯による歯の崩壊です。乳歯は永久歯に比べると柔らかく、虫歯に なりやすいのですが、乳歯が柔らかい事にも理由があります。

乳歯が生え始め、主に乳歯で咀嚼をする0~6才位の時期は、身体の成長が著しく、顎も例外ではありません。0才と6才では顎の大きさはまるで違います。
上下の乳歯は3才頃にガッチリ噛み合うようになりますが、その後も顎は成長し続けます。

上下の乳歯がガッチリ噛み合ったままですと顎は自由に成長できませんので、乳歯が少しずつ擦りへることで、噛み合わせも変化し、顎の成長に調和していくのです。そのために永久歯に比べて柔らかく、虫歯にもなりやすいのです。

しかし、小さい子供の歯の家庭でのケアは大変難しく、虫歯を完璧に予防することは困難です。やはり専門家の定期検診は必要ですが、虫歯になってしまっ
た場合の治療法は大人の場合とは異なります。

乳歯は顎の成長と共に擦りへらなければならないので、乳歯の噛む面に虫歯ができた場合は、初期ならば進行止めの薬(サホライド)を塗ってもらいましょう。この薬は塗った箇所が黒くなる欠点がありますが、虫歯の進行をかなり遅らせることができます。

さらに進行してしまった場合は、虫歯の部分を削りセメントかプラスチック(レジン)で埋めてもらいましょう。硬い金属は擦りへらずにその時点での噛み合わせを固定してしまい、片寄った噛み方や、顎のずれの原因になりやすいので、できるだけ避けましょう。

歯と歯が隣り合った面が虫歯になった場合は、乳歯の周りに金属製のバンド(帯冠:薄い指輪のようなもの)を接着し、隣の歯との間隔を保ち、歯が移動するのを防止します。乳歯の治療は、歯の周りは硬く、噛む面は他の乳歯と同程度の硬さにすることが鉄則です。

いずれにしても将来の永久歯の歯並びや噛み合わせは、全身の健康にもつながりますので、こうしたことを前提に乳歯を管理、治療してくれる歯科医を見つけることが大切です。