窒息事故死が交通事故死を上回る

「食品による窒息死が過去10年で最悪、消費者庁が注意喚起」

”2011年度の不慮の事故による死亡原因のうち、窒息事故が9,727件とこの10年で最悪を記録していたことが分かった・・・日本人の不慮の事故による死因を見ると、2006年度には窒息事故(9,187人)と交通事故(9,048人)が逆転”

誰でも一度は食べ物を喉に詰まらせ死にそうになる程苦しんだ経験があるのではないでしょうか?お正月にお年寄りが餅を喉に詰まらせて亡くなるケースは毎年のように報じられますが、これ程多くの人が亡くなっているとは知りませんでした。

”死亡者の大半は65歳以上で、次いで45~64歳、30~44歳と年齢に比例して多い。一方、0~4歳の乳幼児の死亡も年間20~30人発生している。”そうです。

高齢になるほど歯の状態もよくありませんから、噛み切れないなどが関係しているのかも知れません。しかし、いつ誰の身に起こってもおかしくないありませんので、下記の防止策や、詰まってしまった場合の対処法『窒息事故発生時の応急処置』は知っておく必要があります。

1)食品を食べやすい大きさに切る。一口を無理なく食べられる量に
2)食事の際は、お茶や水などを飲んで喉を湿らせる
3)食べ物を口に入れたまま、しゃべるなどしない
食事中に驚かせるような行動をしない
4)食事中は遊ばない、歩き回らない、寝転ばない
義歯の状態を適切にしておくこと

元のサイトでは図を使って解説してありますので、是非お読み下さい。

避けて通れない問題

胃ろうの導入で学会が指針
#nhk_news

”食べることができなくなった患者の胃に穴を開け、チューブで栄養や水分を送る胃ろうについては、延命の効果がある一方、終末期の高齢者では必ずしも本人の利益につながらないという声があがっています。”

超高齢化社会の避けて通れない問題提起の始まりを感じます。

自分の事が出来る健康寿命と命尽きる寿命の間に平均10年の年月があります。莫大な医療費もかかります。感情論を抜きにして具体策を講じることは避けて通れません。延命治療の継続の決定に「本人の意思」を条件にあげても、実際は意思の確認ができないのが実態です。

高齢者だけでなく医療と延命は避けて通れる問題ではありません。義弟が脳出血で倒れた時、延命と後遺症について調べた事があります。

ある脳外科医のサイトに以下のような記述がありました。脳梗塞などで倒れた場合、患者の家族は何があっても助けて下さいと医者に縋りますが、「本当にいいんですか?命が助かっても後が大変ですよ」と心の中で問いかけることが多い。

医療の現場では、情では100%正しくとも、後の現実がとてつもなく大きくのしかかって新たな悲劇を招く事もまた、現実なのです。誤解を恐れずに言えば、治す医療と死ぬ事を防ぐ医療を分ける医療制度・社会制度が必要だと思います。

NHK”インプラント 事前検査不十分”

NHKのニュースです。

NHK”インプラント 事前検査不十分”

『歯のインプラント治療について、厚生労働省の研究班が調べたところ、治療を始める前に神経の位置などを確認する検査を行っている歯科医師は6割に、また治療の障害となる持病を把握するための血液検査などの値を確認している歯科医師は2割にとどまっていることが分かりました。』

これはかなり驚きました。インプラントの実態がまさかこんなに酷いとは思ってもいませんでした。逆に事前検査なしでよくやれるなぁと信じられない思いです。

先日、インプラントの潮目が変わったと記しましたが、そう思う根拠のひとつに厚生労働省の調査があったからです。やはり、国の機関が調査するというのは看過出来ない状況があり、改善の必要性があると判断したと思ったからです。

この調査の中で術後のトラブルも61%の歯科医が経験しています。酷い話です。

ガイドライン作りを急ぐとしていますが、それだけでは安全な医療を保証できるとは思えません。インプラントそのものの価値の再検討も含めた根本的な対策も急がれます。

私たちはインプラントには反対していますが、もし、インプラント治療を受けるのであれば、その歯科医と施設をよく調べ、事前検査と術後の保証などについて、歯科医との間で文書にして残すことが懸命です。

インプラント治療の潮目

先日もルートの歯科材料を届けてくれる古くから知り合いのAさんが、こんな記事がありましたよと朝日の記事のコピーを見せてくれました。読売にも載っていたそうです。

『インプラント事故5年で300件 厚労省研究班調べ』朝日新聞(6/13付)。週刊文春にもインプラントの歯周炎の深刻さを取り上げた記事が載っていました。そして、インプラントに対して慎重な編集姿勢を取ってきた歯科の業界誌「アポロニア21」も5月号と6月号でインプラントの実際を特集しています。

その特集を組む理由に”テレビ報道などでインプラントに対する風当たりが強く”とか”インプラントバッシング”などの表現がありますが、何を的外れな認識かと呆れてしまいます。

今まで隠れていたインプラントのリスクや失敗例の多さ、その被害の深刻さが表面化したからこそ、消費者センターの警告やNHKや新聞、ラジオなどの報道で事態の深刻さを知らしめているだけの事。

それでも、インプラント医の本音などもあり、良心的な内容で時代の変化を感じさせる特集です。インプラント医は総じてかなり慎重に取り組んでいることも読み取れます。

インプラント治療には潮目が来ており、明らかに今までとは違った潮流になると思います。こうした変化はじわじわきてある日大きく動き出します。今がまさにその潮目です。

まあ、相変わらず「きちんとした診断さえしていれば失敗はない」などと豪語するインプラント妄信のオカシな歯医者もいますが、遠からず淘汰されると思います。

アポロニア21 (日本歯科新聞社)以下引用です。

昨今、テレビ報道などでインプラントに対する風当たりが強くなっています。これは日本だけの特殊事情ではなく、インプラント周囲炎の有病率の高さは国際的な問題となってきています。ただし、特に日本でインプラントバッシングのような状態が起きている背景には、患者さんに過剰な期待を抱かせたり、半ば強引に誘引したりするなど、これまで歯科医院側の対応に大きな問題があったと見られています。

本誌は、インプラントに対して慎重な編集姿勢を取ってきましたが、急速に社会に広がるインプラントバッシングが、歯科医療そのものへの不信感につながる可能性があると考え、あえて今後のインプラントがどのような方向を目指すべきなのかについて、2回に分けて特集することにしました。

2012年5月号
■12人の開業医に聞く「メリット・デメリット」「自院の対応」
■トラブル回避のためのリスク説明
■歯科医師免許を持つ弁護士からの提言

2012年6月号
■「医療事故」「ダンピング」「過剰広告」の実際
■歯科衛生士が行うインプラントメインテナンス
■90人ドクターアンケートに見る現状と課題

2朝日記事

中曽根弘文参議院議員の朝食勉強会での講演

先日、中曽根弘文議員の朝食勉強会「皐月会」で講演をしてきました。「皐月会」は昭和62年から続く伝統ある勉強会で、会場はホテルニューオータニです。演題は「私の受けたい歯科治療」(講演要旨は最古に記載しました。)久しぶりの講演でしたが、パワーポイントでの資料をプリントし、それを元に約1時間講演してきました。

*講演依頼のいきさつと講演会の感想

今回の講演は、ある患者さんから依頼を受け実現しました。その方は開業以前から我々の歯科医療の考え方に深い理解を示してくださった方です。その後、患者さんとして、時には私の社会的な先生としてお付き合いをさせて頂いています。

この方は日本人女性初のハーバード大学のMBA(経営学修士)取得者で、その後アメリカで働き手腕を磨かれた、スーパーウーマンと言って過言ではないような方です。その後日本でも実積を積み上げ活躍され、日本を代表するような確固たる地位を築き上げた方です。

林歯科を開業して間もないある日のこと、この方の診療後、先生の佇まいが良くないので私の知り合いは紹介出来ない。と言われたことがありました。当時、保険を扱わない歯科として開業したてで患者さんも少なく経営的に綱渡りの状態で焦りがあり、すさんだ雰囲気だったのは確かでした。

その後、この方にこの人は分かってもらえるという方を数人ご紹介頂きましたが、そんな20数年の時を経て、私に大勢の方に歯科医療の在り方を直接伝えてみなさいというような形で、このたびの機会を与えて頂きました。

そして先日、自民党中曾根弘文参議院議員の朝の勉強会に講師として話をさせて頂きました。最初の中曽根先生の挨拶の中で、天皇陛下も何かの折に8020運動の話をされたとお聞きし、少し意外でもあり、大変驚きました。

当日は40名弱の参加者が居られました。企業経営者の方が多いのですが、やはりそうそうたる方々の集まりで、正直なところ、私にとっては非日常といっても良い独特な世界が厳然とあるのだなぁーと感じました。

講演そのものは、私の話しに拙い部分も多々あったかとは思いますが、とても熱心に聞いて頂きました。やはり、命の源である口の話は人を惹きつける話だということを改めて感じると共に、まだまだ正しい歯科医療の在り方は広まっていないとも実感しました。私にとっても大変有意義な勉強会でした。

このような機会を与えて下さった方々に感謝申し上げます。

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講演要旨

私の受けたい歯科医療
/林 歯科 林 晋哉

健康な命の営みとは、「入れる。(摂取)」と「出す。(排出)」つまり呼吸と食事と排泄という繰り返しが滞りなくスムーズに出来ることです。そしてその入り口である口はまさに「命の源」です。

今まで歯科に対するイメージは、歯科医側も患者さん側もただ単純に「歯を治す」という捉え方が一般的でした。しかし、昨今の研究などで口の機能の善し悪しが脳や身体全体に対して予想以上に大きい影響を及ぼすことが分かって来ました。良い口の機能とは、口の機能に関わる様々な各要素そのものやその連携にストレスが少ないということです。言い換えれば、最小限のエネルギーで軽やかに口が機能する状態と言えるでしょう。

従って、歯科治療とは単に歯の修理、修復を指すのではなく、歯の治療を通して口の機能の回復、維持を計るものであるということです。

そしてこれを得るために必要な歯科治療とは、口の機能に関わる全ての要素そのものの回復とレベルアップ及びその各要素間の連携のシステムとしての最適応化を可及的に施すことです。この歯科医療の最終目標は、「口を意識することなく社会生活を送れるようにする」ことです。

自分の歯の人でも入れ歯の人でも等しく口の機能にストレスなく過ごせる「命の源である口」を手に入れ、そしてそれを出来るだけ苦労なく手軽に維持して行けるようにすることこそが、歯科医療の本来的な目的と言えるでしょう。

人間の命に寿命があるように「歯」にも寿命はあります。死ぬまで自分の歯で過ごしたいというのは気持ちとしては分かりますが、現実的には長生きをすれば、たまたまとしてはあり得ますが人類学的には死ぬまで自分の歯で過ごすことはなかなか難しいでしょう。

大多数の人達はある年齢を境に1本、2本と歯を失っていくのです。しかしながら適切な歯科治療によって代替えの歯(入れ歯など)などを用いてでも「口を意識することなく社会生活を送れる」状態を得ることが出来るのであれば恐れることはありません。

そして、気付いた時点で口の機能のストレスを極力減らし、一度整えておくこと、そしてそれが早ければ早い程、自身の歯の長持ちと歯医者通いの減少につながると言えるでしょう。

今回は、以上のようなことを踏まえ、歯科医療はどのように捉えたら良いのか。そしてどのような歯科治療を受ければ良いのか。つまり、究極的には私自身の歯科治療はどのように行っていきたいのかについてお話したいと思います。