中曽根弘文参議院議員の朝食勉強会での講演

先日、中曽根弘文議員の朝食勉強会「皐月会」で講演をしてきました。「皐月会」は昭和62年から続く伝統ある勉強会で、会場はホテルニューオータニです。演題は「私の受けたい歯科治療」(講演要旨は最古に記載しました。)久しぶりの講演でしたが、パワーポイントでの資料をプリントし、それを元に約1時間講演してきました。

*講演依頼のいきさつと講演会の感想

今回の講演は、ある患者さんから依頼を受け実現しました。その方は開業以前から我々の歯科医療の考え方に深い理解を示してくださった方です。その後、患者さんとして、時には私の社会的な先生としてお付き合いをさせて頂いています。

この方は日本人女性初のハーバード大学のMBA(経営学修士)取得者で、その後アメリカで働き手腕を磨かれた、スーパーウーマンと言って過言ではないような方です。その後日本でも実積を積み上げ活躍され、日本を代表するような確固たる地位を築き上げた方です。

林歯科を開業して間もないある日のこと、この方の診療後、先生の佇まいが良くないので私の知り合いは紹介出来ない。と言われたことがありました。当時、保険を扱わない歯科として開業したてで患者さんも少なく経営的に綱渡りの状態で焦りがあり、すさんだ雰囲気だったのは確かでした。

その後、この方にこの人は分かってもらえるという方を数人ご紹介頂きましたが、そんな20数年の時を経て、私に大勢の方に歯科医療の在り方を直接伝えてみなさいというような形で、このたびの機会を与えて頂きました。

そして先日、自民党中曾根弘文参議院議員の朝の勉強会に講師として話をさせて頂きました。最初の中曽根先生の挨拶の中で、天皇陛下も何かの折に8020運動の話をされたとお聞きし、少し意外でもあり、大変驚きました。

当日は40名弱の参加者が居られました。企業経営者の方が多いのですが、やはりそうそうたる方々の集まりで、正直なところ、私にとっては非日常といっても良い独特な世界が厳然とあるのだなぁーと感じました。

講演そのものは、私の話しに拙い部分も多々あったかとは思いますが、とても熱心に聞いて頂きました。やはり、命の源である口の話は人を惹きつける話だということを改めて感じると共に、まだまだ正しい歯科医療の在り方は広まっていないとも実感しました。私にとっても大変有意義な勉強会でした。

このような機会を与えて下さった方々に感謝申し上げます。

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講演要旨

私の受けたい歯科医療
/林 歯科 林 晋哉

健康な命の営みとは、「入れる。(摂取)」と「出す。(排出)」つまり呼吸と食事と排泄という繰り返しが滞りなくスムーズに出来ることです。そしてその入り口である口はまさに「命の源」です。

今まで歯科に対するイメージは、歯科医側も患者さん側もただ単純に「歯を治す」という捉え方が一般的でした。しかし、昨今の研究などで口の機能の善し悪しが脳や身体全体に対して予想以上に大きい影響を及ぼすことが分かって来ました。良い口の機能とは、口の機能に関わる様々な各要素そのものやその連携にストレスが少ないということです。言い換えれば、最小限のエネルギーで軽やかに口が機能する状態と言えるでしょう。

従って、歯科治療とは単に歯の修理、修復を指すのではなく、歯の治療を通して口の機能の回復、維持を計るものであるということです。

そしてこれを得るために必要な歯科治療とは、口の機能に関わる全ての要素そのものの回復とレベルアップ及びその各要素間の連携のシステムとしての最適応化を可及的に施すことです。この歯科医療の最終目標は、「口を意識することなく社会生活を送れるようにする」ことです。

自分の歯の人でも入れ歯の人でも等しく口の機能にストレスなく過ごせる「命の源である口」を手に入れ、そしてそれを出来るだけ苦労なく手軽に維持して行けるようにすることこそが、歯科医療の本来的な目的と言えるでしょう。

人間の命に寿命があるように「歯」にも寿命はあります。死ぬまで自分の歯で過ごしたいというのは気持ちとしては分かりますが、現実的には長生きをすれば、たまたまとしてはあり得ますが人類学的には死ぬまで自分の歯で過ごすことはなかなか難しいでしょう。

大多数の人達はある年齢を境に1本、2本と歯を失っていくのです。しかしながら適切な歯科治療によって代替えの歯(入れ歯など)などを用いてでも「口を意識することなく社会生活を送れる」状態を得ることが出来るのであれば恐れることはありません。

そして、気付いた時点で口の機能のストレスを極力減らし、一度整えておくこと、そしてそれが早ければ早い程、自身の歯の長持ちと歯医者通いの減少につながると言えるでしょう。

今回は、以上のようなことを踏まえ、歯科医療はどのように捉えたら良いのか。そしてどのような歯科治療を受ければ良いのか。つまり、究極的には私自身の歯科治療はどのように行っていきたいのかについてお話したいと思います。

8020運動よりいくつでも28運動を!

”健康な食生活に欠かせない歯を、80歳で20本以上残すことを目標にした国の取り組み(8020運動)について、達成している人の割合が大幅に増え、昨年度は4割近くに上ったことが厚生労働省の調査で分かりました。”というニュース

80歳で20本以上の歯が残っている人が増えたことは喜ばしいことですが、私たちはいくつでも28本であることを提唱していますし歯科医の本来の使命のはずです。要はいくつでも28本が理想。失った歯を入れ歯で補い、前後左右の歯でまんべんなく咀嚼できるようにするのが、歯科医の務めであり、健康でいる秘訣です。

自分の歯を残すことはとても大切ですが、そればかりに捉われずに、歯を失なってもスムースに義歯に移行することに目を向ける事がより重要です。

私の父は今年86歳、60代で上下総入れ歯になりました。つまり6000(ロクマルマルマル)ですが、お陰さまで元気に暮らしています。実年齢よりいつも若く見られます。

歯の"8020/ハチマルニイマル運動" 達成率が大幅上昇
https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/

歯科金属アレルギー 唾液通じて血液に、全身に症状

歯科金属アレルギー 唾液通じて血液に、全身に症状

少し前の記事ですが、アレルギー性の皮膚炎が金属アレルギーだと気がつかない場合もありますので、注意が必要です。「皮膚科などでいくら治療しても治らない場合や、(皮膚炎などの)症状が出る前に集中的に歯科治療を行った場合、歯科金属アレルギーが疑われます」

歯科治療にはいろいろな金属が使われます。アレルギーの出やすいといわれるニッケルやコバルトは自費治療(主に金属床)でも使われます。

保険で使われる”金パラ”と呼ばれる銀合金は、金12%、パラジウム20%、銀51%、銅14.5% です。

以前はアマルガム合金という水銀も使われていましたが、50代以上の人の歯には残っている場合もあるかもしれません。

私(兄)も25年程前に、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)を発症し、その時奥歯に詰まっていたアマルガムを金合金に変えたことがあります。

”もともと金属アレルギーが出やすい人は、歯科治療の際に初めから金属を使わないという選択肢もある”ので、気になる方は歯科医か皮膚科医に相談し、金属アレルギーの有無をパッチテストで判断すると良いでしょう。

尚、林歯科では金属を用いる治療の場合は金合金(白金加金)しか使っていません。

究極の義歯

 

歯のエナメル質の元、iPS細胞使い作製成

究極の義歯は自分の歯を再生して移植することだと思います。

親知らずや矯正で抜歯した健康な歯を冷凍保存し、歯の抜けたところに移植している場面を先日テレビで見たばかりです。咬合の調整と管理が適切にできれば画期的な方法ですが、誰でも受けられる治療法ではありませんし、歯の数にも限りがあります。

そこで、iPS細胞を使って歯そのものを再生できれば、数の問題もクリアーでき、究極の義歯とすることが期待できます。

iPS細胞が画期的なのは、受精卵を利用せずに得られる万能細胞であるので、受精卵を利用するES細胞のように倫理的な問題が生じない事。自分の細胞を使うので、拒絶反応が起きにくい事があげられています。

歯科に限らず、医療全般にわたって再生医療の実用化に向けて進んで行くと思います。

もっと被害者の声を、医療責任者への厳しい追及を!!

昨日の東京新聞に掲載された18日放送のクローズアップ現代への視聴者の意見です。

”歯科インプラント治療のトラブルが増加しているという話題をとり上げていた。社会性があり、素晴らしい特集と思うが、もっと被害者の声を多く伝えてほしい。同時に、医療責任者への厳しい追及を視聴者は望んでいると思う。(千葉県・会社員・25才)”

全く同感です!(クローズアップ現代「歯科インプラント トラブル急増の理由」 https://p.tl/erPz )