インプラントがはずれて噛めない話せない

50歳代(来院当時)の男性は、ブレードというタイプのインプラントで失敗して、痛くて噛めないということで来院されました。

ブレードとは今のようなピン型のインプラントではなく、板状のものを埋めるインプラントです。

現在ではこのインプラントはほとんど使われることはないそうですが、インプラントの黎明期に治療を受けた人は、これが使われている方もいると思います。

6つの突起を持った4枚の板状のインプラントを入れていましたが、私たちのところに来たときには「よろしくお願いします」といってしゃべると、前歯のところのブレードが完全に離脱して、ブレードごとポコンと落ちてくる状態でした。

歯ぐきも切れているし、インプラントに固定された人工の歯は、奥歯のインプラントのところだけかろうじて歯ぐきにつながっているので前歯のブレードが上あごの骨と口の中を行ったり来たりしている悲惨な状態でした。
当然、インプラント部周囲は炎症をおこしていました。日常的に痛いのはもちろん、まともに話せない状態で、ものすごいストレスだったと思います。

このインプラントを入れたのは、某歯科大学の教授を退任し開業した、当時有名なインプラント医だったのです。

「こんなインプラントではどうしようもないので、先生、入れ歯にしてください」といわれたのですが、私たちは悩みました。その状態では歯型さえも採れないからです。

その後の治療法はやや専門的になりますので、ここには記しませんが、上手く総入れ歯に移行して事なきを得ています。

詳しくお知りになりたい方は、拙著「歯医者の言いなりになるな!」角川oneテーマ21新書をお読み下さい。

インプラントを使い回し・・・本当に酷い話です

インプラントを使い回し↓↓

ちょうど1年前に公表された「インプラントの使い回し」の歯科医院が廃止届のニュース。この歯科医院では、これまで約2400人に合計6000本のインプラントを埋め込んだとされています。

廃止の理由は「病気のため」だそうです。

本当に酷い話です。

インプラントの使い回しはさすがに特殊ケースだとは思いますが、”正しいインプラント治療”にもトラブルは多いのです。歯医者の言いなりにならず、セカンドオピニオンを求めるなど、慎重な姿勢が大切です。

大学病院では口が開かない

48歳(来院当時)の女性は、顎関節症で来院しました。この方は、高校一年のときに、左下の一番奥の歯がムシ歯になり、近所の歯科医院で抜いたそうです。その後放置しておくと上の歯がしだいに下がってしまい、噛み合わせが悪くなりました。

そして25歳頃から顎に違和感を覚え、数年後には寝返りが打てないほどの座骨神経痛に悩まされるようになりました。その後、30歳のときに、大学病院の口腔外科に相談して、鍼治療を月1回、20年もの間受けていました。

その他にも無添加食品で食事療法を試したり、エアロビクスをやったりなど、様々な治療法を試みていたのですが、全く改善せずに、花粉症になったり、指輪をすると湿疹ができたり、左手の中指が曲がって伸びないバネ指まで発症してしまったりと様々な症状に悩まされ続けていました。

そこで、仰向けに寝た状態で軽く開いた唇に割りばし乗せるという割りばし法を試みてもらい、体の力を抜き、ゆるみを身に付けてもらうといった噛みしめ対策と共に噛み合わせの微調整を慎重におこないました。更に平行して顎関節の動きをスムースにする簡単なトレーニングを行うとあっという間に驚くほど症状が改善したのです。

治療開始から約3ヵ月ぐらいで、大学病院の口腔外科で20年も治療を続けてもほとんど開かなかった口が、ほぼ支障なく最大まで開くようになったのです。

そして、約2年半であごの違和感が全くなくなくなりました。大学病院の口腔外科で20年はなんだったのでしょう。

「歯医者の言いなりになるな!」角川oneテーマ21新書より抜粋

インププラントがほかの歯をダメに

72歳(来院当時)の男性は、上の歯に1本入れたインプラントが痛いということと、歯の欠損が増えてきたため治療して欲しいということで来院されました。

インプラントを入れた時に痛い思いをしたので、もうインプラントは入れたくないということでした。

いらした時にはインプラントに対合する下の歯が割れてグラグラしていました。おそらく、もともと弱っていた下の歯が、上のインプラントの歯に負けて割れてしまったのです。

インプラントは、うまくいくと治療した歯自体はかなりの強さで噛めるようになるのですが、そのせいでブリッジとしてつないだ周囲の自分の歯や噛み合う相手の歯に害を及ぼしてしまうことがあるのです。

この方は割れている歯を抜いて、治療用義歯を入れて、入れ歯に慣れてもらい、咀嚼システムを回復させながら最終的な義歯を入れました。

この患者さんは、その後、定期的にメンテナンスにいらして、もう3年ほど経っています。

結局入れ歯で間に合うのですから、痛い思いと回りの歯をダメにしたインプラントは何だったのでしょう?

「歯医者の言いなりになるな!」角川oneテーマ21新書より抜粋

長期間歯科を受診できないでいた方のケース

この方は、51歳(来院当時)の女性です。20年以上前に作った前歯の差し歯が、グラグラになっている状態で来院しました。

この方は、もともと歯の治療が怖くて、嫌で嫌でしかたなく。若い時から歯が痛くなっても我慢するだけ我慢して、どうしても我慢出来なくなったときだけ治療を受け、それも痛みが無くなると通院をやめてしまうということを繰り返して来ました。

歳を経るごとに口の中の状況は悪くなる一方で、常に、どうにかしなくてはとストレスを抱え、口の中に強いコンプレックスをずっと持って過ごしていました。

そんなことで、いつかはきちんと全体的に治療をしなくてはと思いつつも、たまにかかる歯科医は、ひと目口の中を見るなりに、「あー、ひどいなあー」という感じになり、詳しい説明もなく、歯を削ったり抜いたりされ、ますます歯科を受診する気持ちを萎えさせる経験をしてしまいました。

もともと歯科恐怖症のうえ、入れ歯には抵抗感が強くありました。

しかし、かといって自分の歯科恐怖症を考えるとインプラント治療はとてもではありませんが耐えられるはずがありません。このようにして迷い、悩んで数十年が経ってしまったのです。

そして私たちのところにはその数十年の思いと相当の決心をを持って来院していらしたのです。そこで、まずは、少しずつ治していくということ、通ってもらえれば必ず治療は終わる、ことを説明して納得してもらいました。

治療の第一歩は、治療台に座る練習から始まりました。というのもこの方は治療台にものの10分も座っていられないのです。本当に最初の数回は治療台にすわって話をするだけで終わるということもありました。

我々が一番大事にしたことは、その都度、何のためにどのようなことをするかを説明し納得して治療を受けてもらうということです。これを根気よく繰り返し、治療台にすわっていられる時間を徐々に増やしていきました。

最終的には一回の治療に小一時間は治療を続けられるようになりました。

このようにして、まずは練習用の義歯を作りました。奥歯で噛むという長年失っていた基本的な咀嚼システムの再獲得を計ったのです。そして、少しずつ残骸の抜歯や、ムシ歯や神経の処置、歯周処置を行い、いわゆる基礎工事をしながら口のなかの環境を整えていったのです。

拙著「歯医者の言いなりになるな!」角川oneテーマ21新書より抜粋