歯列矯正はやるべきか?矯正後に頭痛や視力低下、不眠で苦しむ人も

世界的人気ロックバンド「QUEEN(クイーン)」のボーカル、フレディ・マーキュリーを描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』(20世紀フォックス映画)は、11月9日に公開されてから1カ月を過ぎても観客動員は右肩上がりで、世代を超えた幅広い支持を得ています。クイーンの楽曲『ウィ・ウィル・ロック・ユー』『伝説のチャンピオン』『ボヘミアン・ラプソディ』などは、世界中で愛され誰もが知っている名曲です。筆者もこれらの歌は大好きなのですが、クイーンやフレディについて詳しく知っているというわけではありませんでしたし、特に関心を持っているわけでもありませんでした。

しかし、あまりにもこの映画が高評価なので、先日、映画館に足を運んでみました。満員の観客のひとりになって見始めたのですが、すぐに馴染みのある楽曲に彩られたフレディとクイーンの物語に引き込まれ、まるでドキュメンタリーを観ているかのような完成度の高さに感動し、高評価にも納得しました。特に主人公のフレディを演じたラミ・マレックの演技は素晴らしく、まるで本人が乗り移ったかのような怪演で、アカデミー主演男優賞は彼が手にするのではないかと思うほどでした。

そのラミ・マレックの再現性の高さで特筆したいのは、彼の口元です。

フレディ本人はいわゆる出っ歯で、幼い頃のあだ名は“バッキー”(bucky:出っ歯をからかう言葉、「buckteeth」をもじったもの)で、コンプレックスも持っていたそうです。この映画の中でも、フレディの歯並びは侮蔑的な意味合いで触れられるシーンが3度ほど描かれています。しかし、実際の彼は前歯を矯正するべきというアドバイスには、歯並びを変えることで歌声に影響が出ることを恐れ、絶対に応じなかったそうです。筆者は彼のこの決断を強く支持します。

なぜ、出っ歯のままでよかったのか

おそらく今でも、「フレディは歯列矯正すればよかったのに」との意見を持つ人は、矯正歯科医を中心にいるでしょう。しかし、少なくとも、成人してから前歯を引っ込める歯列矯正などしていたら、彼の並外れた歌唱力は発揮できず、クイーンの名曲の数々も生まれなかったでしょう。我々が感動を受ける幸運も得られなかったはずです。

歯並びは、すべての永久歯の歯根が完成する20歳前後に完成しますが、乳歯の時代から長い年月をかけて、ほかの体の部位(骨や筋肉、臓器、組織など)や心の成長と共に、各人固有の歯並びと共に「かみ合わせ(動的機能)」を獲得します。

その歯が並ぶ口の奥には声帯もありますから、発音や発声に必要な声帯の機能も歯並びと調和しています。さらに、発音や発声に欠かせないもうひとつの重要な臓器が舌です。舌は「あっかんべー」をした時のように平べったい形を思い浮かべがちですが、実は下図のように口の中いっぱいを満たす大きな筋肉なのです。

前歯を内側に引っ込める歯列矯正をした場合、前歯が内側に移動することで口の中の容積は小さくなります。しかし、舌の大きさは変わりません。すると、狭くなった口腔に収まらない舌を噛みやすくなります。噛むととても痛いので、噛まないように常に舌を引っ込めるようになります。舌は前に出す分には簡単でつらくはありませんが、舌を後ろに引く動作は、口の周りや首のあたりが緊張し、かなりつらくなります。長く続けると痛みやコリも発生します。

歯列矯正で舌を後ろに引く動作を強いられれば、声帯にも悪影響が出ることは容易に想像できます。もし、フレディがこの状態だったら、あの美声は生まれなかったことでしょう。歯列矯正をしなかった彼の判断は正しかったのです。

成人になってからの歯列矯正は、口の周りだけでなく、顎の痛み、首や肩のコリ、頭痛、視力低下、不眠、パニックなどを引き起こす場合もあり、実際にそうした症状を訴える患者さんは、筆者のクリニックに途切れることなく来院されているのです。

フレディは、他人から何を言われようとも、ありのままの歯並びだったからこそ才能を発揮できたのです。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』を見ると、初めに彼の口元に違和感を覚える人もいると思いますが、見終わる頃には、この出っ歯こそがフレディの個性であり、彼そのものだと受け止めているはずです。エンドロールで流れる実物のクイーンの演奏場面で映し出されるフレディの口元に対して違和感を覚えることはなくなっているでしょう。

歯並びと口の機能とは密接に関連しています。この映画を通じて安易に歯列矯正をしないことの重要性もフレディは教えてくれているのです。 

矯正の副作用についての詳細は、当サイト記事『歯列矯正は超危険!全身に深刻な副作用のおそれ…食事や口の開閉が困難になる例も』をご参照ください。(文=林晋哉/歯科医師)

ニュースサイトで読む: httpss://biz-journal.jp/2018/12/post_25798_2.html
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.

●林 晋哉(歯科医師)
1962年東京生まれ、88年日本大学歯学部卒業、勤務医を経て94年林歯科を開業(を併設)、2014年千代田区平河町に診療所を移転。「自分が受けたい歯科治療」を追求し実践しています。著書は『いい歯医者 悪い歯医者』(講談社+α文庫)、『子どもの歯並びと噛み合わせはこうして育てる』(祥伝社)、『歯医者の言いなりになるな! 正しい歯科治療とインプラントの危険性』(新書判) 、『歯科医は今日も、やりたい放題』(三五館)など多数。
林歯科HP:https://www.exajp.com/hayashi/


にほんブログ村 病気ブログ 歯科医へ
↑↑歯科医療情報ブログ・ランキングに参加しています。よろしければ応援クリックをお願いします。


林歯科の新刊本 | 歯科医は今日も、やりたい放題

2014年5月22日林歯科の新刊本“歯科医は今日も、やりたい放題”が三五館から大好評発売中!【本の詳細はこちらです】

林歯科の新刊本

歯科医は今日も、やりたい放題

林晋哉・林晋哉 著
単行本: 216ページ / 出版社: 三五館
ISBN-10: 4883206114 / ISBN-13: 978-4883206117
発売日: 2014/5/22

954157c31943decfaaf99801fe6365ba

内容紹介

噛み合わせを狂わせる歯列矯正、体への危険を無視したインプラント、合わない入れ歯の粗製乱造、意味のない歯石取り……こうした無数の“患者のためにならない治療”とともに、それを助長する保険制度。日本の歯科医療は崩壊寸前!――被害者にならないために知っておきたい、大切な話。

良い歯医者と、そうではない歯医者は、いったいどこが違うのか?現役歯科医が暴く、「やりたい放題」の業界の裏側と、本当に患者のためになる治療、そして良い歯医者の見抜き方とは?


“歯科医は今日も、やりたい放題”
【本書より】

  • よい歯医者とそうでない歯医者とはどこが違うのか?
  • 歯は食べるためだけに存在しているのではない
  • よい歯科医療とは何か?
  • ストレスなく過ごせる口
  • 私たちはどうやって噛んでいるか?
  • 顎・口腔系の神業──髪の毛一本も見逃さない
  • なぜ歯を治療したら痔が改善したのか
  • 犬の咀嚼システムを崩壊させてみると…
  • 咀嚼システムには個性がある──赤ちゃんは噛めない
  • きれいな歯並びがよい噛み合わせではない!
  • 「すぐ慣れます」が命取り
  • 噛み合わせの不具合は生命にかかわる
  • リスクを負って歯列矯正をする芸能人
  • 「人の患者を取るな! 」と叫んだ矯正医
  • 噛みしめは百害あって一利もない
  • 木を見て森を見ない従来の治療法
  • 虫歯治療の大間違い
  • なぜ一本だけ虫歯ができるのか──虫歯菌だけが虫歯の原因ではない
  • 虫歯は「複雑適応系」──噛みしめや体質などが原因となる
  • 歯磨きは虫歯を予防しない
  • 歯にも「免疫力」がある
  • インプラントは身体に刺さった棘
  • 良い入れ歯、ダメな入れ歯
  • 歯があるうちから入れ歯をつくる準備を
  • いくら費用をかけても、だめな入れ歯はだめ
  • 歯石と抜歯の誤解
  • 歯石は本当に悪者なのか?
  • ブリッジより一本義歯
  • 八〇二〇運動は歯医者の敗北宣言
  • コンビニよりも多い歯科医院
  • 保険制度を悪用する歯科医たち
  • 自由診療よりも保険診療のほうがオイシイ理由
  • 使わない器具の請求ができる保険診療制度の問題点
  • 最近の不正請求の手口
  • 不良品をつくることで金儲けができる不思議な制度
  • 歯科医師会はなんのためにあるのか?
  • 歯科には診断がない?
  • カルテと呼べない歯科医のカルテ
  • ニセ矯正歯科医に要注意
  • 矯正の世界では悪徳商法が自由自在
  • 歯科医療がダメな最大の原因は歯科教育にある
  • 歯科大学の現状
  • 歯科教育の問題点
  • 歯学部で教わることはまったく実用にならない
  • 大学病院に行ってはいけない
  • 国家試験の問題漏洩という重大事件の笑える真相

    etc…..歯科業界の裏側と大切な情報が満載!!

著者について

林晋哉◎1962年、東京都生まれ。歯科医師。日本大学歯学部卒業後、勤務医を経て、1994年にを併設した林歯科を開業。開業前は保険診療を行なっていたが、「自らの受けたい歯科医療」を追求した結果、保険診療を一切行なわない歯科に。本書では、「やりたい放題」の
歯科界の行状を指摘しながら、正しい歯科医療の在り方を提示した。

林裕之◎1956年、東京都生まれ。歯科技工士。日本歯科大学附属歯科専門学校(現・日本歯科大学東京短期大学)を卒業後、歯科技工所、歯科医院勤務を経て、を開設。「顎・口腔系」の歯科技工を行なう技工士として、弟と二人三脚で、よりよい歯科医療について研究を重ねる。

歌えなくなったと歯科医を提訴

リアン・ライムス 歯の治療で歌えなくなったと歯科医を提訴
https://goo.gl/O9wFP

“米カントリー歌手のリアン・ライムス(30)が、歯医者を相手取って訴訟を起こした。ゴシップサイトTMZの報道によれば、顎の関節の痛みを訴えていたリアンは歯科医のデュエイン・C・マッケイ氏からここ3年間、歯の表面に極薄のセラミックのシェルを貼り付け、真っ白な歯にする施術や、痛みを緩和するための治療を受けたという。”

詳しい治療内容は不明ですが、上記を読む限り、顎関節症の治療と、審美治療を同時進行していたのでしょうか?いずれにしてもやっかいな事態だと思います。彼女は以前から歯の治療のトラブルをツイートしていたそうで、

”リアンはマッケイ医師に対して、精神的かつ肉体的な負担、さらに歌えなくなったことによるこれまでと、未来の歌手業の収入を求めて損害賠償を支払うように要求している。”

のです。

口は食べる時もしゃべる時も動かして使いますので、安静にすることが機能的に難しく、口や顎関節のトラブルによるストレスは相当なものです。まして歌手ならば尚更でしょう。また、歯列矯正などが盛んなアメリカですから、見た目の不満もトラブルになりがちです。

アメリカは起訴社会と言われています。30数年も前の話ですが、アメリカで審美を専門にしている日系の歯科技工士の講習会で、「週に一度はコート(裁判所)通いですよ。」と嘆いていたのを思い出しました。歯科医ではなく、歯科技工士でさえそうなのかと、びっくりしたのを覚えています。さすがにそこまでではないですが、日本でも歯の治療トラブルから裁判になるケースは増えているようです。

この記事にはもう一方の当事者である歯科医の見解は一切載っていないので、真相は分かりませんが、リアン・ライムスさんはわずか13歳でグラミー賞を受賞したカントリーシンガーだそうですので、きっと賠償額も巨額なのでしょう。

出来れば続報でこのトラブルの真相と顛末を知りたいものです。

にほんブログ村 病気ブログ 歯科医へ

『Aladdin バカヤロー Radio !』の反響

夕べ放送された(24:00〜26:00)、福岡、北九州地方をカバーする「cross fm」のトーク番組『Aladdin』バカヤローRadio !』を聞いた福岡在住の友人からメールが届きました。

「胎児からのケアは夫婦仲良くするんだよ」は 良かった(^o^)/
野望はさすがのスケールです。m(__)m

かなりホンネでしゃべったので、どこの部分が使われたかちょっと不安になるメールですが、受けたのは間違いないようです。(笑)たった2行の感想ですが、やっぱり嬉しいものです。番組を録音したCDが届くのが楽しみです。届いたらみなさんにも視聴して頂けるようにしたいと思います。

『Aladdin バカヤロー Radio !』に電話出演

本日11月10日(土曜)の夜中(24:00~26:00)、福岡、北九州地方をカバーする「cross fm」のトーク番組『Aladdin』バカヤロー Radio !』に電話出演します。

テーマはずばり「歯医者」です。既に収録は終わっており、かなり過激にべらんめいで本音トークを炸裂させました。どこまでカット、編集されているか分かりませんが、スタジオの出演者にはかなり受けていました。何しろホンネトークですから。受信可能は方はぜひお聴き下さい。

*残念ながらcross fmはradiko.jpやドコデモFMに対応していないようで、直接電波が届くエリアだけでしか、聞く事はできないようです。番組放送後にCDを送って頂けるようになっていますので後日、何らか形でご試聴して頂ければと思っています。

以下番組HPより抜粋です。


cross fm 『Aladdin バカヤロー Radio !』24:00~26:00
福岡 78.7MHz / 北九州 77.0 MHz / 行橋 87.2 MHz / 久留米 86.5 MHz / 大牟田

https://crossfm.co.jp/contpgms/w_main.php?oya_id=177

11月10日放送分のテーマは『歯医者』

毎回テーマを設けてお送りしているバカラジ。今週のテーマは「歯医者」。

今回お話を伺うのはお二人。

お一人目は、歯科医師 林晋哉さん。東京都千代田区にある林歯科・の歯科医。「いい歯医者、悪い歯医者」や「歯医者のいいなりになるな!正しい歯科治療とインプラントの危険性」などの本を出版されています。「良い歯医者と悪い歯医者」「インプラントは安全か?」「歯医者の裏事情」などをうかがいます。

お二人目は、某歯科医師さん。「給料」や「勤務体系」から「嫌な患者さん」のことなど、業界の実態をうかがいます。

また今週の○○では、、、今回は『今週のハニー、歯医者に行く』という事で、福岡シティデンタルクリニックを訪れます。

是非、最後までお付き合いください。。。